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全国高校野球大分大会 接戦に強い理由 柳ケ浦の本領発揮 【大分県】

全国高校野球大分大会 接戦に強い理由 柳ケ浦の本領発揮 【大分県】

第107回全国高校野球大分大会
7月10日 別大興産スタジアム
2回戦
津久見 000 000 100|1
柳ケ浦 000 000 20 ×|2

 春夏連続の甲子園出場を狙う柳ケ浦がいよいよ始動した。相手は実力派の津久見。緊張感に包まれた初戦は、まさに紙一重の勝負だった。序盤から息詰まる投手戦。両エースが得点圏に走者を背負いながらも粘り強く抑え、得点ボードにゼロが並び続けた。

 均衡が破られたのは七回表。津久見に先制を許すも、柳ケ浦はすぐさま反撃に転じる。二死三塁の場面で、相手は1番・島袋二魁(かい、3年)を申告敬遠。勝負を託されたのは、前の打席で併殺打に倒れた2番・亀安歩汰(あゆた、同)だった。亀安の胸には強い闘志が宿っていた。「逆転の場面は自分が決めてやろうとしか考えていなかった。前の打者が敬遠されたことで火がついた」。狙い澄ましたスライダーを右翼方向へ弾き返し、値千金の逆転打。ベンチもスタンドも歓喜に揺れた。

決勝打を放った亀安歩汰

 先発の杉本羽輝(つばさ、3年)は制球に苦しみながらも、12奪三振の力投を見せた。七回に一度マウンドを譲ったが、試合終盤に再登板を果たすと、気迫のこもった投球で相手打線を封じた。「最後の2イニングは託されたのでギアが上がった」と語るように、エースの覚悟が試合を締めた。

 キャプテン田原光太郎(3年)は「最大13点をひっくり返した経験がある」と言う。直近の練習試合でも先制点を奪われながら全て逆転勝利。今や“接戦を制する力”はチームの大きな武器だ。選手たちは「俺たちなら大丈夫」と自信を胸に、ベンチで声をかけ合い、冷静さを失わない。

 試合後、鈴木聡監督は「選手は緊張して動きが硬かった。難しい初戦だったが今日の経験を次に生かしたい」と話した。確かに完璧な内容ではなかった。だが、その中で勝ち切った事実こそが、チームの底力を証明している。苦しみながらも勝つ。その強さが、甲子園へ続く道を照らしている。柳ケ浦は、次戦へ向けて着実に歩を進めていく。

12奪三振の力投を見せた杉本羽輝

(柚野真也)