県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
熱戦を彩ったヒーローたち③明豊 夏の甲子園予選2019
熱戦が繰り広げられた第101回全国高校野球大分大会で
強烈なインパクトを放ったチームや選手たちを紹介する。
春のセンバツでベスト4となった強豪は、今大会でも格の違いを見せつけた。シード校として2回戦から登場。日田林工戦では今大会の“ラッキーボーイ”となった成田武蔵(3年)、野上真叶(2年)に本塁打が飛び出し、7回コールド勝ちで幸先の良いスタートを切った。3回戦は降雨により3日間の延期を強いられたが、「選手はしっかり調整してくれた」と川崎絢平監督。この言葉がチームを端的に表している。指導陣が指示しなくても表悠斗主将(3年)を中心に「自分たちから動き、努力を積み重ねたチーム」は、準決勝まで順当に勝ち上がった。
今大会は4人の投手を継投させ、打線に派手さはないが確実に得点に結びつける巧みさと賢さがあり、隙は見当たらなかった。ただ、準決勝の大分商業戦は、投手陣で最も安定感のあるエース若杉晟汰(2年)の調子が上がらず、手首の負傷が完治していなかった四番・野辺優汰(3年)に快音が聞かれなかった。川崎監督は「決して油断があったわけでもなく、最善の準備をしていた。何かが足りなかったとは思わない」と敗因を見つけ出せなかった。唯一の要因を絞り出すとすれば、新チームとなり県大会で負けた中津東、情報科学の2試合は左投手を打ち崩せなかったこと。準決勝でも左投手を攻略できずに終わった。
前評判通りの実力を発揮した明豊
春夏連続の甲子園出場はかなわなかったが、川崎監督は「甲子園ベスト4の結果を残し、明豊の歴史を変え、大きな財産を残してくれた。この学年と練習するのは本当に楽しく、毎日グラウンドに行くのが楽しみだった。未知の経験をさせてもらい、感謝しかない」と3年生へ思いを告げた。表は「こんな辛い思いは後輩にはさせたくない。来年は必ず優勝してほしい」と3年生全員の思いを託した。
決勝戦の翌日、練習場から学校まで表と最後のマウンドに立った大畑蓮(3年)が練習着で走っている姿を見た。彼らは次のステージに向けた準備に余念はなく、伝えきれなかった細かな部分を後輩に指導している。強豪校の伝統は確実に継承されているのだ。次なる目標の日本一達成は遠い話ではない。
安定感のあるピッチングを披露した大畑蓮
(柚野真也)