グッドルーザー(4) バレーボール男子 大分工業 エースの涙 【大分県】

2023/11/22
  • 冬の全国大会

 膝を固定するサポーターを付けた小野はベンチにいた。試合前の練習ではボール拾いをし、タイムアウトやセット間の休憩では、水を差し出し、後輩にアドバイスを送るなどサポート役に徹した。「勝ってくれる」と信じて大きな声で鼓舞した。願い届かず、あと一歩のところで優勝を逃した瞬間、「みんな、よく頑張った」と肩を落とす仲間を迎えた。込み上げる感情を抑え、チームを引っ張ってくれた同級生一人一人に感謝の言葉を掛けた。

 

 気丈に振る舞う小野に「一番悔しかったよね」と声を掛けた。その瞬間、これまでこらえていた感情があふれ出した。「みんなが苦しいときに何もできない悔しさがあった。けがさえなければ。自分がコートに立って入れば。何度も思った。悔しい。本当に悔しい。なんで俺はけがなんかしてしまったんだ」。チームに貢献できなかった自らのふがいなさを責めた。何度も「悔しい」と発した言葉に、エースとしての責務を果たせなかった思いが表れていた。来年2月にはサポーターを外し、練習ができるようになるという。「高校最後の半年間は悔しさしかない。大学ではこの悔しさをバネにしたい」と次のステージでの活躍を誓った。

 

ベンチからチームを盛り上げた小野太聖(右から3番目)

 

 

(柚野真也)

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