
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
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9月の5試合を正念場と位置付けた大分トリニータ。勝てない試合が続いている。順位は9位、プレーオフ圏外に転落した。前節の甲府との試合は2点リードで前半を折り返したものの、後半に3失点を許し逆転負け。下平隆宏監督は「悔しいの一言で言い表せない負けだった」とショックを隠しきれなかった。失点に絡み、気落ちしていた梅崎司は、今週の練習では気持ちを切り替え、「次の試合(徳島戦)で結果を出すしかない」と前を向く。
今季からキャプテンとなった梅崎は、開幕から6試合は先発に名を連ねた。しかし、その後はベンチにいる時間が長くなり、4月中旬からケガで戦列を離れた。梅崎の理想のキャプテン像は「どれだけ調子が悪くても、ピッチに立っているだけで影響力がある人物。チームの先頭に立って監督の目指すサッカーを実現し、仲間を引っ張っていく存在」。そのため、ピッチにもチーム練習にも合流できない自分に苛立ちを覚えたこともある。心ない外部の声も耳に入ることもあったが、「全てを受け止め、プレーで見返すしかない」とリハビリに専念した。
動きにキレが戻った梅崎司
ピッチに立てなくてもチームの勝利に貢献したいとの思いは強く、そのためならなんでもやるという気持ちでサッカーをしてきた。それは大分でプロキャリアをスタートした17歳の頃から変わらぬ思いだ。前線からボールを追いかけ、ドリブルやスルーパスで好機を演出する。そのプレースタイルも変わらない。甲府戦でPKを与えたプレーは、若き頃の梅崎を彷彿させるものだった。「ペナルティーエリア内だったので慎重にプレーしなければいけなかった」と前置きした上で「頭より体が動いた。プレーにキレを感じた」と振り返る。ここ数年になかった鬼気迫るプレーが出たことに手応えを感じた。
10代で日本代表に選出され、海外移籍を経験し、国内のビッグクラブでもプレーした。一般的に見ればエリート街道を歩んでいるように思えるが、「プロになったときから常に崖っぷちの状況を打破してきた」と梅崎。ハングリーさが根源となってのし上がったという。「結果が出ないと自信を失ってしまうが、ディテールにこだわりたい。その中で自分らしさを出せればいい。自分らしさを出すことはチームにとっても意味があることだと思う」。淡々と受け答えする中にも、自分のプレーに対する確固たる自信が垣間見える。何よりもゴールが求められる終盤戦では、アグレッシブなスタイルこそが求められている。「やるしかない」という梅崎のプレーには出し惜しみのない潔さがある。巻き返しはこれからだ。
「結果を出すしかない」と巻き返しを図る
(柚野真也)
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