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2020県高校野球大会 準V大分舞鶴 左右のエースが引っ張り、最高の夏に

2020県高校野球大会 準V大分舞鶴 左右のエースが引っ張り、最高の夏に

2020大分県高校野球大会

決勝   舞鶴1−2津久見

準決勝  舞鶴4−1佐伯鶴城

準々決勝 舞鶴10-2大分工業(8回コールド)

3回戦  舞鶴8-1佐伯豊南(7回コールド)

2回戦  舞鶴7−0鶴崎工業(7回コールド)

 

 決勝前日の夜に試合開始時刻の変更を聞いた。大分舞鶴の左のエース新名凌馬(3年)は、かかりつけの整体院で津久見戦の配球を整理していた。「驚いたけど今年はいろんなことが起きているので気持ちを切り替えた」。決勝当日は昼まで授業を受け、会場入り。「クラスの友だちから『頑張って』と声を掛けられたし、いろんな方から元気をもらった」。学校創立70周年の節目の年で歴史をつくりたいとの思いは強くなった。

 

 初回は3番打者として無死一、三塁の場面でエンドランを決めて鮮やかに先制点を奪った。先発を託されたマウンドでは1回に同点に追いつかれたが、その後は得点を与えなかった。「初回は硬さがあったけど、2回以降は楽しく投げることができた」とストレートを軸に得意のカーブ、チェンジアップなどを組み合わせてテンポ良く投げ、打線の援護を待った。7回からは右のエース木村駿太朗(3年)に託したが、見事なピッチングで先発の責務を果たした。

 

準優勝の大分舞鶴

 

 8回にスクイズを決められ勝ち越されたが、「木村が打たれたら仕方ない」とかばい、「次の回で点を取るから楽に打たせていけよ」と声を掛けた。左右の両エースは1年の夏からベンチ入り。互いに「アイツがいたから成長できた」と認め合う良きライバルだ。木村は「抑えようとの気持ちが強く、コントロールが定まらなかった」と肩を落としたが、チーム躍進の立役者だったことに変わりはない。大分舞鶴は新名、木村の好投手を軸に、シード校が次々と姿を消した中で、第3シードの実力通りに力を発揮した。

 

 惜しくも僅差で優勝を逃したが、安東和樹監督は「最後まで立派に自分たちの野球を貫いた」と選手を誇った。新名は泣き崩れるチームメートを支え、キャプテンとして気丈に振る舞った。「投手中心のチームと言われ続けたが、今大会は3回もコールド勝ちできた。打線が奮起してくれたからこそ、最後に勝てなかったのは残念」と悔しさをのぞかせたが、笑顔を絶やさなかった。「僕が泣いたら悔いなく終わったと言えない。最高の夏だったと言いたいんで」と最後まで涙を見せず、スタジアムを後にした。

 

最後まで野球を楽しんだ新名凌馬

 

 

(柚野真也)