九州高校ライフル射撃選手権大会 野村一生(別府翔青2年) 心を研ぎ澄ましつかんだ九州王者 【大分県】
2025/06/23
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銃を握ったのは小学4年の時だった。きっかけは母の「他のスポーツに挑戦してもいいのよ」という一言。それまで続けていた水泳を離れ、野村一生(いつき、別府翔青2年)は未知の競技に胸を躍らせた。回覧板に書かれていた体験会の告知に「面白そう」と心を動かされたのは、幼いころからアニメ「ガンダム」に熱中し、祖父の手作りゴム鉄砲で夢中になって遊んでいた少年らしい感性だった。
そんな野村が第49回九州高校ライフル射撃選手権大会の男子ビームピストル個人で、ついに初の頂点に立った。「ようやく自分の実力を出せた」と語るその表情は、これまで積み重ねてきた努力と、幾度となく味わってきた悔しさを思わせる穏やかな達成感に満ちていた。
実績だけを見れば、野村のキャリアは長い。全国大会の出場経験も豊富だった。ただ、記録や順位といった結果には恵まれなかった。だからこそ、この勝利には特別な意味がある。「今日は点数よりも、優勝することを狙っていた」と明言するほど、心のギアは勝負に合わせてチューニングされていた。
努力が実り九州王者となった野村一生