
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
大分県高校総体
決勝 60-102 別府溝部学園
準決勝 62-60 中津北
準々決勝 59-55 大分舞鶴
3回戦 73-32 佐伯豊南
2回戦 54-50 日田
1回戦 106-30 日出総合
ノーシードから決勝戦まで駒を進めた大分上野丘の躍進劇は痛快だった。3日間で行われた県高校総体バスケットボール競技で、1日2試合の過酷スケジュールを3度続ける体力と気力は掛け値なしに称賛できるものだった。進学校ゆえに練習時間は短く、大会前は期末考査があり練習は自粛。さらにコートは女子部と共有するため半面しか使えない状況であった。今村泰三監督は飛躍の要因を「接戦をものにして勝ち上がったことで、一人一人の力が上がった。高校年代の成長は爆発力があり、大会期間中に結果とともに飛躍するケースがあるが、今回はそれ」と分析する。
2回戦で古豪・日田に4点差で勝利し、ひと山越えた。ここで選手に自信が生まれた。キャプテンの小林巧(3年)を中心に、中学時代に全国大会を経験した安部剛史を筆頭とした2年生が支える。フリーでボールを受けるために動き、パスをつなぐ。パスを出したら止まらずに動き出す。バスケットボールの基本を忠実に守っているにすぎないが、相手のマークをきれいに外してシュートを打つから成功率も高い。守備においても相手と一定の距離を保ち、シュートを打たせてもしっかり手を上げてチェックする。リバウンドはスクリーンアウトを徹底し、相手を飛び込ませない。
勝負どころで得点を決めた小林巧
オーソドックスなハーフコートのマンツーマンディフェンスで、攻撃時も複雑なセットプレーをするわけでもない。奇抜な戦略はなく、選手それぞれが自分の役割を把握してプレーする。このスタイルで接戦に持ち込み、大会を勝ち進んだ。勝負どころの機微を知る小林や安部が個人技で得点できる武器はあるが、王道ともいえる普遍的なスタイルを貫いた。
シード3校に競り勝ち、決勝戦までたどり着いたが、その過程で体力は尽きた。連覇を狙う別府溝部学園との試合は、高さ、スピードで上回られ完敗。今村監督は「3年生は最後の大会となる選手が多く、いい思い出になった。下級生は決勝の舞台を経験できたことが大きく、次につながる自信となった」と話し、小林は「3年生の集大成としての大会と位置づけていたので、結果が出せたことは満足している。部活を続けるかどうかは考えたいが、最高の大会になった」と表情はすがすがしかった。
県高校総体の1週間後にあった全国高校選手権大会(ウインターカップ)県1次予選は、勢いそのままに3連勝で突破。10月の2次予選でも台風の目となりそうだ。
接戦を勝ち抜き準優勝した大分上野丘
(柚野真也)
地区を選択
学校名を選択