冬の主役たち(4) 駅伝女子 苦しんだ先に見つけた「走る喜び」 浅倉愛(大分東明3年) 【大分県】

2023/01/07
  • 冬の全国大会

 2校目となる大分東明に入学後は「精神的に辛かった。1年間は気持ちの整理ができずに引きずった。競技に集中できなかった」。ようやく走れるようになると股関節を痛め、リハビリに時間を費やした。ただ、この頃から気持ちの変化に気づく。「走れることは当たり前ではないからこそ、走ることに喜びを感じられるようになった」。2年時には憧れの都大路を走ったが、本来の調子を取り戻せず、「うれしさより悔しさの方が大きかった」。その後もけがが重なり、思い描く走りができなかった。入学当初から浅倉を見守った横瀬彩也香コーチは「挫折を味わったからこそ、苦しいときも頑張れる。駅伝はフォームも大事だが、『心』。あの子にはそれがある」と支えた。

 

 3年生になった浅倉はけがと向き合いながら、チームをまとめた。けがで苦しむ下級生には自分の経験を元にアドバイスをし、キャプテンであり、エースとしてチームを引っ張る多田妃奈(3年)をサポート。上級生や下級生が何でも言い合える雰囲気をつくった。高校最後の都大路では、チームとしては昨年の順位を上回ることはできなかったが、個人的には2年時と同じ3区を走り、「昨年のタイムを越えられた。いろいろなことがあった3年間だったけど、今年のチームは最高だった」と話す。卒業後は大学でも競技を続ける。「全く燃え尽きてないし、ここからがスタート」と前を見据えた。横瀬コーチは「けがなく継続して練習できれば能力はある。気持ちの強い選手なので、もっともっと強くなる」と成長を楽しみにしている。

 

次のステージを目指す浅倉愛

 

 

(柚野真也)

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