花園県予選 ラグビー 史上初の両校優勝 大分舞鶴が3年ぶりの花園の舞台に立つ

2021/11/12
  • 冬の全国大会

第101回全国高校ラグビーフットボール大会大分県予選

11月7日 大分市営陸上競技場

決勝

大分舞鶴14-14大分東明

※抽選で大分舞鶴が代表権獲得

 

 決勝の舞台に上がったのは王者奪還に燃える大分舞鶴と3連覇を目指す大分東明。今季の公式戦では1勝1敗、実力はこれまで以上に拮抗(きっこう)していた。両校のプライドを懸けた戦いはし烈を極めたが、結果は史上初の「引き分け両校優勝」。運命は抽選に委ねられた。

 抽選に臨んだのは両校のキャプテン、舞鶴の島正輝(3年)と東明の馬越涼(同)。先に抽選会場から出てきた島は「東明のことを考えると笑えなかった」と無言、無表情で仲間が待つロッカールームに戻ったが、間を置かず舞鶴フィフティーンの歓喜の雄たけびが響き、かつての王者が再び花園に立つことを知らしめた。

 

 試合は舞鶴の“らしさ”が爆発した展開だった。前半22分、ラインアウトからモールで押し込む得意の形でフッカー川野倫太郎(同)が先制トライ。難しい角度のコンバージョンキックをもう一人のキャプテンであるスタンドオフの川上隆輔(同)がきっちり決めた。「昨年2点差で負けたのは自分がキックを外したから」。そんな思いを胸に抱き、1年間、練習が終わった後も1人でキックの練習に打ち込んできたという川上。1年分の思いがこもったキックが決まったのは “必然”といえるのかもしれない。前半はそれ以上の追加点はならなかったが、東明ゴール前で猛攻を続け、見事な集中力を見せた。

 

 追加点は後半15分。前半と同じくラインアウトからのモールで押し込み、島がトライ。川上のコンバージョンキックも決まり、14-0と引き離した。後半18分と20分、東明に立て続けにトライを許し、同点に追いつかれたものの焦りはなかった。「点を取られた後も、冷静になって最後まで敵陣で攻めた」(島)。追加点はかなわなかったが、終了間際に得たペナルティーキックのチャンスを、あえて選ばずトライにこだわるなど、最後まで舞鶴らしい誇りあるプレーで戦い抜いた。

 

 試合後、「最後に取りきれなかった部分など課題はあるが、舞鶴の意地は見せられたと思う。久しぶりの花園で暴れたい」と語った杉本圭監督。その思いを受け止める選手たちは複雑な面持ちながら前を向く。島の「ようやく舞鶴高校ラグビー部のスタートラインに立てた気がする」という言葉は、部員全員に共通するものだろう。

 先輩の悔しさ、伝統の重み、東明の思い…。全てを背負い、初めて立つ花園の舞台でベスト8を目指す。

 

得意のFW戦で力を発揮した大分舞鶴

 

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