春の高校バレー県予選 男子 県内無敗の大分工業が6年ぶりの頂点に立つ
- 冬の全国大会
第74回全日本バレーボール高校選手権大会県代表決定戦
11月7日 昭和電工武道スポーツセンター
男子 決勝
大分工業3-1別府鶴見丘
(25-20、19-25、25-17、25-21)
「最高でーす!」。試合後のインタビューで、エース甲斐優作(3年)は喜びを爆発させた。新チームになって県内無敗の大分工業が、6年ぶりの頂点へ着実に歩を進めた。立ち上がりからサーブレシーブが安定し、得点者が偏ることなく得点を積み重ねた。第2セットこそ失ったが、総合力で相手を上回り、最後に甲斐のスパイクが決まるとチームは歓喜に包まれた。
今年2月の県高校新人大会を皮切りに県内の主要大会全てを制し、負けなしで迎えた春の高校バレー県予選。勢いそのままに、決勝でも“総合力”で勝負した。「飛び抜けた選手はいないが、誰もがヒーローになれる」と江崎裕之監督。その言葉通り、決勝戦ではそれぞれが持ち味を発揮した。相手に攻撃のポイントを絞らせず、ミドルブロッカーを巧みに使って攻撃を組み立てたセッターの上甲正一郎(2年)、安定したサーブレシーブで攻撃にリズムを与えたリベロの姫野憲史(3年)、いつもはスパイカー陣がスポットを浴びることが多いが、この日は縁の下でチームを支えた選手が輝きを放った。
控えに回ったがキャプテン芦谷透(同)の存在感も大きかった。今大会初めてセットを落とした第2セット後にコートに立ち、悪い流れを断ち切った。江崎監督は「チームが苦しい状況で試合に出るが、いつも期待に答えてくれる」と、切り札として絶大な信頼を寄せる。他にもベンチに入れなかった3年生の分析力も勝因となった。「対戦相手のデータを集め、分析し、ビデオ編集までしてくれた」(江崎監督)。相手の特徴や自分たちの良さを出すために必要なことを端的にまとめ、攻略すべきポイントをあぶり出したという。
「20数年間バレーの指導をして、こんなに落ち着いて試合ができたのは初めて。セットを失い、リードされる場面もあったが、全ては想定内だった」と江崎監督。試合の流れを手放すことなく、全員で勝ち取った勝利は格別だった。
守備からリズムをつくった姫野憲史