現役プロが熱血指導 大分に広がる「バスケの灯」 【大分県】
バスケ
ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 バスケ男子 大分上野丘が不撓不屈(ふとうふくつ)の精神で準優勝
第74回全国高校バスケットボール選手権大会県予選
10月31日 大分舞鶴高校体育館
決勝 大分上野丘58-107別府溝部学園
準決勝 大分上野丘59-56柳ケ浦
準々決勝 大分上野丘116-64別府鶴見丘
「不撓不屈の精神を示した。3年生は最後まで心が折れずに勝負し、下級生を引っ張ってくれた」と今村泰三監督は3年生をいたわった。全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)県予選、大分上野丘は同校初となる準優勝に輝いた。過去に県高校総体や県高校新人大会では決勝戦まで駒を進めたことはあるが、ウインターカップでは過去最高を記録した。県内有数の進学校であるがゆえに、6月の県高校総体で部活動を終える3年生が大半。今村監督は「ウインターカップ県予選は毎年新チームに切り替わるなかで、3年生の主力が残る相手と対戦しなければならず、どうしても力の差が出ていた」と過去の大会を振り返る。
今大会に3年生で出場したのは安部剛史と高木爽佑の2人だけだったが、準決勝では、県高校総体覇者であり今大会で連覇を狙う第1シードの柳ケ浦と、最後まで一進一退の攻防を繰り広げた。残り2分を切った場面で安部がフリースローを2本決めて逆転し、残り11.3秒で高木がシュートを決めて、59-56と激闘に終止符を打った。今村監督は「あれこそが3年生。3年力を感じた」と称えたが、代償は大きかった。別府溝部学園との決勝戦は第1クオーター(Q)こそ僅差となったが、「運動量が少なくバテバテだった。普段はしないようなミスが多かった」(今村監督)。
中学で全国ベスト8を経験し、高校入学当初から主力として試合に出続けた安部は、「柳ケ浦に勝てたところまでは良かったが、決勝の壁は高かった。(2メートルを超える)留学生の存在は確かに大きかったけど、それ抜きでも相手が強かった」と言い訳はしなかった。準決勝で相手の執拗(しつよう)な密着マークで体力を奪われ、決勝でも強度の高い守備に手を焼いたが、果敢に立ち向かいチームを引っ張った。これまで4強の壁を破れなかったチームを勝利に導き、3年間のうちに優勝争いができるチームへと変貌させたが、自他ともに認める負けず嫌いは「優勝できなければ2位も3位も関係ない。3年間で一度は優勝したかった」と悔しさを隠すことはなかった。
3年間で優勝を争えるチームに押し上げた安部剛史
高木は「留学生のいるチームに勝つことを目標」として今大会に臨んだ。難関国立大学を目指し、受験勉強と部活の両立は困難を極めたが、「今しかできないこと」と高校最後の大会に向けて調整した。試合では体格差のある留学生を相手に、「真っ向勝負では勝てない」とゴール下から遠ざける位置取りやブロックなど試行錯誤したプレーは、下級生には参考になっただろう。試合後は「負けたので悔しさはあるが、3年間の部活動に悔いはない」と言い切り、「今日の夜から受験勉強に切り替える」と新たな目標に向かって走り出した。
キャプテンの一宮裕貴(2年)は、「プレーでチームを引っ張り、士気を上げるための声掛けなど大黒柱としての3年生2人の存在は大きかった。次は自分がリーダーとして周りを引っ張っていかなければならない」と強い覚悟を示した。チームのモットーである不撓不屈は下級生が受け継ぐ。
不撓不屈の精神を受け継ぐ一宮裕貴
(柚野真也)