ヴェルスパ リーグ前半戦を検証 先行逃げ切りの形を確立したい

2017/06/22
  • ヴェルスパ大分

 ファーストステージは残り1試合となり、現在12位のヴェルスパ大分は苦戦している。14試合を終えて「得点11」という数字が示すとおり、攻撃面のテコ入れが最重要課題である。佐野達監督は「決定力がないのが明白。守備陣はよく耐えていると思うが得点できなければ試合をコントロールするのが難しい」と頭を抱える。

 

 佐野監督は「上位を目指すならば2桁得点できる選手が最低でも一人は必要」とFW陣の奮起を促す。昨年は開幕戦で負傷しシーズンを棒に振った元トリニータの木島悠の3得点を筆頭に、中村真人、栫健悟がそれぞれ2得点決めているが、まだまだ物足りないのは事実。攻撃の柱として期待されていた鍔田有馬が怪我で離脱したのは誤算だった。

 

 この状況を受けてチームも戦い方を変えてきている。いや、変えたというよりは、より徹底させたと言うほうが明確だ。もともとヴェルスパは守備をベースにカウンターを狙うサッカーを持ち味としているが、守備の位置を高くし、積極的なプレスでボールを奪い、素早くシンプルにゴールを目指すようになった。

 

 最終ラインの相手ボール保持者への素早い寄せでキック精度を狂わせ、プレスの網に掛けては一気にゴールを陥れる。浸透するまで時間はかかりそうだが、前線の守備意識は以前にも増して高まり、この強烈なプレッシングが効果的にハマれば、易々とカウンターを食らう場面も減っていくはずだ。

 

 さらに、課題とされてきたゴール前での勝負強さに関して言えば、攻撃面ではサイドの利根瑠偉の活躍が明るい材料だ。足もとの技術が高く、ボールを失わずサイドからの仕掛けを得意とするアタッカーのクロスが、攻撃のパターンとして確立しつつある。

 

 一方、守備面では長身FWの中村真人をCBと併用して起用する“二刀流”を試している。ロングボールに対してはね返すパワーと高さが生まれたが、一瞬の隙から奪われる失点はまだ多い。

 

 1勝8分5敗。勝てない試合が続き、今は選手たちも自信をなくしている時期だろう。だからこそ、ひとつの勝利が大きな意味を持つ。何はともあれ、まずは1勝。連敗のなかでも、手応えを感じる試合もあった。攻撃面の強化でまずは先制点を奪い、最後まで守り切るという『先行逃げ切り』の形を取り戻したい。迷いなく戦い続ければ、必ず道は拓けてくるはずだ。(柚野真也)

 

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