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2020ルーキーファイル(ヴァイセアドラー) “映える”スパイカー、山田滉太

2020ルーキーファイル(ヴァイセアドラー) “映える”スパイカー、山田滉太

 セッターでもなければリベロでもない。4月から大分三好ヴァイセアドラーの一員となった山田滉太の身長は175㌢。スパイカーとしては圧倒的に小さいが、最高到達点は335㌢あり、190㌢を超えるトップリーグのスパイカーたちに引けを取ることはない。小川貴史監督は「全身がバネのようで、肩が強くパンチ力がある」と即戦力として迎えた。

 

 小学4年でバレーボールを始めた時から、山田は自分より身長の高い選手と対峙し「どうすれば点が取れるかを考えてきた」。ブロックアウトや相手ブロックの裏をかく軽打など細かいプレーを磨いたが、それ以上に「どれだけ高く、どれだけ強く打てるか」を考え、努力を惜しまなかった。小さいから逃げるのでなく、真っ向勝負することこそが山田の信条だ。折れない心とミスをしても引きずらない精神面の強さで、これまで難敵をねじ伏せてきた。

 

チームになじみ、楽しんで練習ができている

 

 そして登り詰めたトップリーグ。昨季は内定選手として2試合に出場した。山田は中学、高校、大学であらゆる全国大会への出場経験があるが、「これまでの大会と比べものにならない。声援の大きさ、観客の多さ。すべての試合がセンターコートでプレーできるような感覚だった」と語り、華やかな舞台で輝く自分の姿を想像した。「大きな選手と同じようなスパイクであっても、僕の方が“映える”。身長が低いと話題になるし、注目される。これは大きな武器になる」と、嬉々として話す。

 

 山田には大きな目標がある。「自分が活躍してスパイカーに必要なのは身長ではないことを示したい。目標に向かって戦う情熱やバレーを楽しむ気持ちの大切さを伝えたい」。この選手のプレーを見ていると、体が小さいことは強みだと思えてくる。フィットネスを高め、正しいテクニックを身につけることで問題は解決できる。守備力の高い小柄な選手の特徴であるサーブレシーブの安定感があり、攻撃の起点となる。スパイクの決定力に欠けるというジレンマはない。「僕は守備要員としてではなく、攻撃の選手として活躍したい」。非凡なセンスを備えているだけに、今後チームに大きな変化をもたらすはずだ。

 

「スパイカーとして勝負する」と語った山田滉太

 

 

(柚野真也)