序盤から徳島にペースを握られた。片野坂知宏監督が「攻守で機能せず、苦しい前半だった」と振り返ったように、一方的に攻め込まれる時間が長く、連係ミスから先制を許す。後半から「これまでやってきたことに戻した」と守備システムと戦術を変え、選手交代で流れを引き戻した。新加入の渡辺新太の同点ゴールで開幕戦は１−１で勝点１を分け合った。

【収穫】町田の連動性&渡辺の移籍後初ゴール

　後半の立て直しは見事だった。開幕戦に向けて守備時は４バック、攻撃時は３バックとなる“可変システム”を、今季の戦い方として準備してきたが機能しなかった。狙いとした位置でボールを奪えず、自陣でプレッシャーを受ける時間が多く押し込まれた。最少失点で前半を終えたことで、モチベーションを下げずに後半に向けて修正できたのは確かだ。４バックに見切りをつけ、昨季から慣れ親しんだ３バックに変更して安定感が出た。

　攻撃では前線に町田也真人を投入したことで、連係がスムーズになった。流動的にポジションを変えて前線とのつなぎ役をこなしつつ、サイドに流れて攻撃も操る。昨季からの既存組の一人だ。片野坂監督の計算できる選手として今後も重宝されそう。

　新加入で結果を出した渡辺は、常にベクトルがゴールに向いている。「ガツガツいくのが自分の長所」と自ら話すように、前線からの果敢な守備やシュート意識も高い。待望の移籍後初ゴールが生まれたのは後半14分。町田のシュートのこぼれ球を左足一閃（いっせん）。「迷わず打てた」と貴重な同点弾を打ち込んだ。自身初のJ１での得点で、対等に勝負できる手応えをつかんだはず。

今季チーム初ゴールを決めた渡辺新太