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トリニータ 注目の新戦力①長沢駿 待望の大型FWはチームに相乗効果を生み出す

トリニータ 注目の新戦力①長沢駿 待望の大型FWはチームに相乗効果を生み出す

 片野坂知宏監督がチームを率いて6年目。今季は主力の入れ替えがあり、新たに12選手を迎えて陣容を整えた。GKを含めた最終ラインから試合を組み立てる、これまで積み上げた大分独自の味付けに新加入選手が新たなスパイスを加え、1桁順位を目指す。

 

 新体制発表会見で西山哲平ゼネラルマネジャー(GM)から「待望の大型ストライカー」と紹介されたのが192㌢の長身FW長沢駿だ。清水エスパルスでプロキャリアをスタートし、7チームを渡り歩いた長沢は、2015年にG大阪で当時コーチだった片野坂知宏監督と出会っている。「カタさんは試合に絡めずにいた僕と一緒に居残り練習をしてくれた。自分のことを理解し、性格なども分かってくれてのオファーだったと思う」と話す。

 

 昨季の大分は、サイドを攻略しても得点に結び付かず総得点は36に終わった。今季は総得点45を目標としており、昨季、仙台で9得点を記録した長沢には得点源として大きな期待が寄せられている。「高さを生かしてクロスに合わせる形が得意だが、FWだからといって守備をしないという考えはない」と自身が語るように、前線からの献身的なプレッシングを惜しまず、チームプレーに徹するスタイルは大分向き。プレー同様に性格も真面目。練習から手を抜かず、「自分が一番下手と思ってやっている」と32歳の今も向上心を持ち続けている。

新体制発表会見では「チームの勝利に貢献できるプレーをしたい」と語った

 

 サッカーに真摯(しんし)に向き合う姿勢は、2014年に右膝前十字靭(じん)帯断裂で長期離脱してから変化した。ボールを蹴ることもできず、8カ月のリハビリ期間を経て復帰。ピッチに立てる喜びを実感したと同時に「一日一日を大事にしないといけない」と思うようになった。

 「このサッカーをやりたい!」と思い決断した新天地では、「難しさはあるが、緻密でやりがいがある」と充実した日々を送る。これまでのクラブと異なり戦術の落とし込みに時間を割くことに戸惑いはあったが、積極的にコミュニケーションを図る。キャンプでは同部屋の長谷川雄志にクロスのタイミングや細かい立ち位置を確認し、質問攻めする毎日だという。

 

 高い打点のヘディングや鋭い飛び出しを生かし、泥くさくゴールを狙う。「自分がボールを収めれば、シャドーの2人が動き回り、相手もマークしにくいと思う」と周囲を生かすプレーも忘れない。尊敬する元日本代表の西沢明訓氏が好んで着けた背番号20を大分で背負う。「エース番号の10の2倍頑張らないといけないのが20番」と西沢氏の教えをプレーで表現する。長沢の加入により、チームには相乗効果と呼ぶにふさわしい現象が起きている。

 

キャンプでは戦術理解を重視する長沢駿(写真提供大分FC

 

 

(柚野真也)