
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
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この中断期間にまず明らかになったことは、リーグ再開に向けて戦術を徹底し、さらに新たなオプションを増やしたことだ。紅白戦や練習試合を重ね、片野坂知宏監督は「ある程度の手応えはある。戦い方の幅が広がった」と話す。ボールを保持して、相手を動かし、わずかなほころびを見つけ、攻撃を構築する形はチーム戦術の柱だが、相手が自陣に引いてブロックを築いたときの崩し方が昨季からの課題であった。今季は交代枠が5人となった。片野坂監督は「点を取るための戦術変更ができる」と今季限定のルールをポジティブに捉えている。
新たなオプションは、リーグ再開の相手となる鳥栖戦でお披露目することになるだろう。中央を固める相手に対して、振り幅を広げるためのサイド攻撃がポイントとなりそうだ。MF松本怜は「サイドの関わりを増やし、得点に直結する仕事をしたい」と話し、FW知念慶は「サイドからのチャンスが多い」と、クロスからのシュートイメージを膨らませる。今季の公式戦2試合は無得点に終わっているだけに、「貧打」解消のオプションに注目したい。
チーム始動から続く前線3枠の激しいポジション争い。中でも注目を集めてきた1トップの知念を軸に、これまで、FW渡大生やMF町田也真人らの新加入選手に加え、FW三平和司やMF小塚和季など既存組との融合を図ってきた。互いの得点力を生かす形を探り、中断期間に練習を重ねるごとに良化。「誰かが下がってボールを受ければ、誰かがゴール前に飛び出す。流動的にできている」と三平が話すように好連係が安定的にできるようになっている。
再開に向けて「いい準備をしよう」と呼びかけた片野坂知宏監督
また、新加入の大卒2年目のFW高沢優也の存在も面白い。昨季のJ3で27試合出場17得点の決定力を武器とするストライカーは、当初から豪快なシュートとポストワークには目を見張るものがあったが、ここにきて周囲との息が合いつつあり、持ち味が生きるようになってきた。初めてのJ1で不安はあるが、物おじしないずぶといメンタルと滞在能力の高さがあり、戦力として計算できるメドが立ったのは間違いない。ポジションを争う知念やFW伊佐耕平らも順調に調整を進めている。練習から複数の組み合わせを試しており、「誰が出ても問題なくできるようになった」とキャプテンのDF鈴木義宜。総合値は上がったと言えるだろう。
守備では、GK高木駿、鈴木を中心とした最終ラインは昨季の中盤以降はメンバーも変わらず盤石。それぞれの持ち味である1対1の対応もさることながら、カバーリングでも周囲との好連係を見せており、守備の安定化に期待を持たせる。短期決戦で連戦が続き、再開初戦は無観客での試合。「いろんなことが起こりうるシーズンになる。心配もあるが、90分戦える準備はできている」と片野坂監督はその言葉に力を込める。どんな苦境に立たされようとも、武器であるチームワークの良さ、団結力を持って、リーグ再開へ向けて準備は着々と進められている。
注目の新加入・高沢優也
(柚野真也)
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