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トリニータ 心に変化。「自分に何ができるか」を問う岩田智輝

トリニータ 心に変化。「自分に何ができるか」を問う岩田智輝

 新型コロナウイルスの感染拡大によって1年延期が決まった東京五輪。Jリーグも開幕した途端に中断。想定外の打撃を受けたが、嘆いてばかりもいられない。苦難を乗り越えようと立ち向かっているのがDF岩田智輝だ。「この期間を成長期間にしたい。シーズン中にはできなかったトレーニングに取り組み、(当たり負けしないように)体を大きくしている」と話す。東京五輪については、「僕は当確線上ではなく、厳しい立場だったと思っている。1年伸びたことで成長できるチャンス」と捉える。

 

 クラブの練習が休止して以降、岩田は「休みのときほど差をつけるチャンス」と気持ちを奮い立たせ、トレーニングに励んでいる。「毎日、体幹、自重筋トレをして8㌔走っている。リーグ再開後は連戦になると思う。体に負荷がかかるので、けがをしない体もつくりたい」とオフシーズンより意識を高く持っている。気持ちが落ちることはないが「たまに、リフティングとかしていたら思い切りボールを蹴りたくなる。あらためてだけど、サッカーは人がいて成り立つものだし、当たり前にサッカーができることを普通と思っていたけど、そうではなかった」としみじみ語る。

 

昨季は自身初のJ1を経験した

 

 岩田が特に力を入れているトレーニングは肉体改造だ。トレーナーにメニューを組んでもらい、体幹や腹筋、上半身を強化している。昨年、自身初となるJ1を経験し、体の違いを感じた。「アダイウトン(FC東京)やディエゴオリベイラ(同)ら外国人選手とマッチアップしたときに当たり負けして、体をぶつけられなかった」と話す。体をより効果的に使えるように改善している。

 

 時間に余裕ができ、悪いことばかりではない。岩田は「本を読むようになった」と話す。チームメートのMF小林裕紀の薦めで『書斎の鍵』を読み、知識も物事の見方も、広い見識を持っていた方がいいと感じたようだ。読書熱は高まり『怒らない禅の作法』を読んで心を整え、稲盛和夫の『心。』などジャンルを問わずに読みふける。「世の中のために自分に何ができるかを考えさせられる。自分なら、サッカーを通して、サポーターのため、サッカー選手を目指す子どもたちのために頑張ろうと思った」と発言が大人びた。プロ5年目の23歳は心技体を研ぎ澄ませ、リーグ再開に備えている。

 

充実した時間を過ごす岩田智輝

 

 

(柚野真也)

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