OITA SPORTS

6/30 MON 2025

supported by

塩塚

バレー バレー

春の高校バレー県予選・女子 東龍が貫禄の19連覇! 勝因は3年生の団結力にあった

春の高校バレー県予選・女子 東龍が貫禄の19連覇! 勝因は3年生の団結力にあった

 日本一を目指す東九州龍谷(東龍)の盤石の強さは揺るがなかった。大分商業も組織的な粘り強い守備で健闘したが、東龍の完成度の高いバレーはまるで動じない。力の差を見せつけ、無敵の女王が栄冠を勝ち取った。

 

 全国高校総体、国体で3位となった東龍だが、全日本高校選手権大会(春の高校バレー)県代表決定戦でも1セットも落とさない危なげない戦いぶりだった。決勝では大分商業に3−0で完勝し、19年連続34回目の優勝に輝いた。

 

 第1セット序盤こそ、大分商業の粘り強いレシーブに手を焼いていた。東龍の相原昇監督は「相手に攻撃を絞らせないようにした」とセッターの園田風音(3年)に指示を送る。試合中盤からサイド、センターにトスを振り、オープン、クイック、時間差を織り交ぜるようになると、徐々に攻撃に迫力が生まれてくる。「今日は点を取ることだけを考えた」という平山詩嫣(3年)は、これまでチームをまとめるキャプテンとしてバランスを考えていたが、得意の速攻で確実にポイントを重ね、リードを広げた。

 

 「試合の入り方は良かったが、レセプション(サーブレシーブ)が崩れ、攻撃が単調になった」と大分商業の森栄一郎監督。準決勝の臼杵戦は第3セットまでもつれる熱戦になり、「あの試合を終えて決勝戦は一気に盛り上がることを期待していたが、逆に燃え尽きた感じがあった」。蓄積された疲労だけではなく、気持ちの部分で東龍を上回ることができなかった。第2セット以降はライトの後藤菜摘(3年)、レフトの高城優亜(2年)が両サイドから攻撃を仕掛けたが、及ばなかった。

 

 個々の能力だけではなく、勝負どころでの決定力や状況に応じた修正力など、さまざまな面で相手を上回った東龍が、貫禄の勝利で春の高校バレーの出場権を射止めた。相原監督は「春の高校バレーに向けて完成形に近づいている。日本一を狙いたい」と手応えを口にした。

 

19年連続34回目の優勝となった東龍

 

3年間の集大成、それぞれの思いが一つに

 

 東龍は昨年から主力として試合に出場していた平山、園田、合屋咲希、梅津憂理の3年生の安定感が抜群だった。試合後に相原監督が「3年生を中心に全国に向けての意気込みを感じた」と賛辞を送ったのは、大会2週間前のある出来事があったからだ。

 

 3年生にとって最後の大会となる春の高校バレーだが、どこか士気が上がらず、練習でも緊張感が欠けていた。相原監督が「こんな雰囲気で日本一が取れるのか。お前たちは本気で日本一になりたいのか」と3年生に向けて檄(げき)を飛ばした。

 

 その日の練習後にキャプテンの平山が声を掛け、3年生9人が集まって話し合いの場を設けた。これまで試合に出ていたメンバーや数人で集まって話したことはあるが、全員が一同に会してミーティングをしたのは新チームになって初めてのことだった。「これまで試合に出ている選手と出ていない選手で、どこか遠慮していたところがあった。思っていることを本音で話した」と平山。

 

 これまで同じ空間で同じ時間を共有してきた仲間だ。3年間の思い出を振り返り、厳しい意見にも耳を傾け、泣いたり笑ったり9人がそれぞれの思いを話したという。考え方は異なるが目指すゴールは一緒だった。「このチームで日本一になりたい。最後のチャンスとなる春の高校バレーに向けて三つの決まりごとを決めた」(平山)

 

 一つ、バレーを楽しむ。二つ、仲間を信頼し思ったことは口にする。三つ、諦めない-。三つの思いを秘め、臨んだ今大会は一体感が強く、いつも以上にコートの上にもスタンドにも笑顔があった。試合後の平山の言葉が、3年生全員の気持ちを代弁していた。「最高の仲間と日本一を目指す」

 

優勝の瞬間に喜びを爆発させた

 

(柚野真也)