監督の哲学 押し付けない指導で選手の力を引き出す飯田朱音監督(昭和学園高校バドミントン部) 【大分県】

2024/07/03
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 飯田を指導していた吉田太郎コーチは、「高校の頃から飯田には指導者になってほしかった。仲間への接し方、部内での役割を分かっていたし、伝えることが上手な選手だった」と振り返る。自分の後釜として当時から、選手目線と監督目線で競技の捉え方を伝授した。飯田が赴任してすぐに監督の座を譲り、サポート役のコーチに回ったのは信頼があるからこそ。

 

 飯田は一昔前の、指導者の意見が絶対で、「私の言うことを聞けばいい」といった指導はしない。自身の豊富な経験を押し出さず、それぞれの選手とコミュニケーションを図り、相互理解の上で長所を伸ばすのか、短所を少なくするのかを決める。必要なことを的確にアドバイスできるようにしている。「指導者がどこまで認識し、受け入れられているのか。時代が変われば常識も変わる。大切なのは柔軟性と寛容性」という。ただ、選手時代から変わらぬものある。「競技ができる環境が整っているのは当たり前ではない。支えてくれる方々がいてこそ集中して練習できる」。どんなに実力があっても、練習で手を抜く選手には厳しく叱咤(しった)する。

 5月の県高校総体で50回目(昭和女子高時代含む)の優勝を飾った。自身がそうであったように「個人戦より団体戦で力を発揮できる選手を育てたい。バドミントンは個人競技だが、みんなで一つと思える選手が大一番でも力を発揮できる」。新米監督は一体感を植え付け、全国高校総体で選手の力を一気に開花させることで、成功体験と自信を得ようとしている。

 

母校で指導する飯田朱音監督

 

 

(柚野真也)

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