コロナ禍の高校3年生たち②  駅伝 平松彩華(大分西) 責務を果たし、後輩にタスキをつなぐ

2020/11/20
  • HEADLINE

 新型コロナウイルスの感染拡大で次々と大会が中止となった2020年。県や、それぞれの競技独自の大会で練習の成果を発揮できた者もいれば、不完全燃焼のまま競技を辞めた者もいる。多くの高校3年生にとって想定外だった1年間を振り返り、今後はどのような道を歩むのか、「コロナ禍の高校3年生たち」と題してそれぞれのドラマをひもといた。

 

 高校3年間、並走する同級生はいなかった。それでも大分西の平松彩華(3年)は「充実した3年間だった」と振り返る。高校最後の大会であり、競技生活の終わりと決めた全国高校駅伝競争大会県予選は、「1年の時は先輩が可愛がってくれて、2年になると先輩と後輩がいて、3年になってからは悩むこともあったけど、いつも後輩がそばにいてくれた」と感謝を胸にラストラン。2位でタスキを受け、アンカーとなる第5区(5㌔)で順位を下げることなく、ゴールで待ち構える後輩に向かってテープを切った。

 

 本来であれば九州大会の出場権を手にするはずだったが、新型コロナウイルスの影響で中止。「正直、大会がなくなって悔しかったけど、県予選があって良かった」と持てる全ての力を出し切った。「1、2年生の勢いがすごくて、少しでもいい姿を見せたかった。練習の時は前を走る後輩に少しでも差を縮めたいと思って走ってきた。今日は苦しかったけど後輩の応援が力になったし、笑顔で迎えてくれてうれしかった。これで終わるという実感はないけど、これから出てくるのかな」。つながれたタスキの重さを知るからこそ、最終走者の責務を果たし、ほっとする気持ちの方が大きかった。区間2位の18分41秒が最後の記録として刻まれた。

 

「少しでもいい姿を見せたかった」と力走した平松彩華

 

  • LINEで送る

関連記事

ページトップへ