それぞれの選択 カヌー・柚野秀斗(鹿屋体育大4年)
2019/09/15
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人生には岐路がある。競技人生に没頭する道もあれば、これまで続けた競技に別れを告げる道もある。確かな足跡を残したアスリートには「それぞれの選択」の物語があった。第1回はカヌーの柚野秀斗(鹿屋体育大4年)。
高校からカヌーを始めて7年。日本カヌースプリント選手権大会を最後に競技人生に別れを告げた。今大会の主な成績はカナディアンフォア500㍍で優勝、同ペア200㍍で3位。来年の東京オリンピック会場となる海の森水上競技場で最後のレースを終えた柚野秀斗(鹿屋体育大4年)の表情は穏やかだった。「最後に五輪会場でレースができた。悔いはない。燃え尽きた」と静かに語った。
この1年間はキャプテンとしてチームを引っ張り、支える役割に重きを置いた。選手の自主性を重んじる部でキャプテンの役割は大きい。「年間スケジュールを立て、そこから大会ごとの目標を立て、中期、短期でメニューを考える」。選手兼監督の二足のわらじは思いのほか大変だったという。
昨年のインカレ(全日本学生カヌースプリント選手権大会)が選手として絶頂期だった。得意のシングル1000㍍で優勝し、6種目で表彰台に上がり大会MVPに輝いた。その実績が認められ、キャプテンに任命されたが自身の練習時間が削られ、思うような練習ができなかった。
4年生になると将来の進路が問われる。競技を続けたくても競技人口の少ないマイナー競技は練習環境が整わない。「全てを競技に捧げる強い覚悟が僕にはなかった」と競技引退を決意し、就活や教育実習の合間に後輩を指導し、最後の夏に有終の美が飾れるように練習に励んだ。
競技人生に悔いなしと語った柚野秀斗