国スポ 期待高まるチーム大分 今年も千点以上目指す 【大分県】
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トリニータ 恩返し弾とイニエスタ封じを誓う前田凌佑
22日のアウェー神戸戦に並々ならぬ闘志を燃やす選手がいる。今季、神戸から完全移籍して大分トリニータに加入した前田凌佑だ。2年間の期限付き移籍を経て、「身も心も完全に大分の人間になった」と公言するボランチは、開幕戦から先発出場を続け、チームのスタートダッシュに貢献した。
ボールあるところに前田あり!と言われるほど抜群のスタミナを駆使して、ピッチを駆け回り、味方のパスを引き出す。もちろん、リズムを作るために少ないタッチで周囲の選手にボールを預けることもある。状況次第ではキープしてからFWへ長いパスや、近くの選手を1人飛ばして、左右へ大きく展開する。今季は深い位置からカウンターの起点となる推進力が光り、代えの利かない選手となったが、豊富な運動量の疲労が蓄積され、左足太ももの筋肉系のけがで離脱した。
試合に出場できなかった期間はリハビリに励みながら、ピッチ外の“ガヤ王”としてチームの盛り上げ役に徹した。「チームのために何ができるか」を考えるようになったのは、ちょうど昨年のこの頃だ。ベンチメンバーに入ることさえできず、ふてくされていた時期が続いた。コーチから「気持ちを切らすな」と助言を受けるも態度は変わらなかった。見兼ねた片野坂知宏監督が「チームのために、大分のためにプレーできないなら出ていけ」とキツい一言。これで目が覚めた。前田は「死んでいた俺を生き返らせてくれた。カタさん(片野坂監督)の言葉がなかったら今の俺はない」と振り返る。
今季も豊富な運動量でボールを運ぶ
前節の名古屋戦に5試合ぶりに先発復帰し、最終ラインの前で左右に幅広く動き、ピンチの芽を摘んだ。想定以上に名古屋の猛攻に苦しんだが、最少失点で終えたのは前田の奮闘があったからこそ。「攻守で目立つようなプレーはできないけど、チームのために走ることはできる。それが自分の特徴だから」。周囲を生かす献身性は、捨て難い武器である。
今節はジュニアユースの頃から10年在籍した古巣が相手。「イニエスタと一緒にプレーするのではなく、大分の一員として対戦するためにいる。俺がイニエスタに何もさせない。ゴールのイメージもできている」と顔を上気させた。今季の対戦カードが決まったときから「アウェー神戸戦の準備はしてきた」。リーグ戦5試合ぶりの勝利だけでなく、もう一度チームに勢いをもたらす試合とする強い覚悟で挑む。
神戸戦に向けて気合がみなぎる前田凌佑
(柚野真也)