
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
2年目の九州女子サッカーリーグ2部に参戦するヴェルスパ大分レディースは、即戦力となる社会人ら5人を加え、今季は24人体制でスタートした。リーグ戦はすでに2試合行われ1勝1敗。けが人が多く、主力の選手を本職と異なるポジションで起用するなど苦しい試合は続いているが、1部昇格条件となる3位を目指す。
昨季は8勝2分6敗で9チーム中5位、荒川幸大監督は「九州リーグ1年目にしてはまずまずの結果。選手はこのステージでやれないことはないと感じたと思う。ただ、県リーグに比べ(ボールへの)アプローチが速くなった。我々の特徴であるボールを動かすところでのミスが目立った」と分析する。オフシーズンの間は、「蹴る、止める、運ぶ」の基本を徹底し、チーム全体の基礎力向上につなげた。
補強は的確だった。昨季は自陣からコートの3分の2までパスをつなぎ、ボールを運んだが、アタッキングゾーン(ゴールまでの残りの3分の1のエリア)で得点につながる形が見えなかった。そこでドリブルでの突破力と強いシュートを持つMF熊谷志保、テクニックがあり攻撃のアイデアが豊富なFW吉岡あなんを新戦力として迎えた。すでにチームの中核として機能しており、今後の活躍が楽しみだ。
新加入の吉岡あなん
課題は、主力にけが人が多く、ベストメンバーを組めないこと。復帰までに時間がかかりそうだが、今いる選手が複数のポジションをこなすことでプレーの幅を広げる期間と割り切るしかない。また、ハードワークが課題の高校生も実戦経験を積みながら、当たり負けしない体を作りたいところだ。荒川監督は「人が連動してテンポよくボールを動かしたい。今は同じ絵を描くために共有している段階。今季は選手の選択肢を増やし、最善の一つを選べるようにしたい」と高い理想を掲げる。
現時点では意思の統一やプレーの精度に物足りなさは残る。一朝一夕で修正できる問題ではないだけに、中長期的な視点を持ってチームづくりに取り組むことが重要になってくるだろう。一方、高校生や中学生の下部組織の選手らが着実に成長している事実は、伸びしろの大きさを示している。チームとしてもまだまだ変わっていけるはずだ。
チームのベースアップが重要となる
(柚野真也)
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