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トリニータ いぶし銀・島川俊郎が輝ける居場所を手に入れる

トリニータ いぶし銀・島川俊郎が輝ける居場所を手に入れる

 7節・仙台戦で今季リーグ戦に初先発したMF島川俊郎が連勝に貢献した。派手さはないがツボを得ている。そんな活躍だった。試合序盤はMF前田凌佑とボランチを組み、中盤の底からチームを支えたが、輝きを放ったのはシステム変更後から。相手のカウンター攻撃を受ける場面が多くなると、片野坂知宏監督は「サイドより真ん中をケアすることを選んだ」と、前半の途中で3ボランチに変更する。中盤の真ん中に配置された島川は、適切なポジショニングと優れた危機察知能力で、ピンチの芽を摘み取り続け、リーグ戦3試合ぶりの無失点試合に大きく貢献した。仙台の攻撃が途切れる多くの場面には、彼の姿があった。片野坂監督は「島川が入ったことで戦術の幅が広くなった」と賞賛した。

 

 今季、新天地を求め甲府から加入した島川は、J1から3つ下のカテゴリーとなるJFLを経験した苦労人だ。同じような経歴を持つFW藤本憲明は得点を重ね跳ね上がったが、島川は愚直にコツコツと歩を進めた。新入団会見で発した「サッカーに真面目に取り組み、チームの力になれるように努力します」の言葉は島川の人となりが見て取れる。

 

仙台戦で今季リーグ戦初先発した島川俊郎

 

 他の加入組に比べ戦術理解が早く、最初のトレーニングマッチから主力組でプレーし、その後も先発定着に向けて堅実なパフォーマンスで評価を上げた。しかし、開幕目前に接触プレーで離脱を余儀なくされ、別メニューでの調整が続く。ようやく手にしたリーグ戦の初先発では、片野坂監督を納得させるプレーを披露。「セカンドボールを予測し、バイタルエリアを消すことを考えた。相手を見ながら前と後ろをつなぐ意識をした」と島川。試合に出られなかった間、スタジアムから試合を俯瞰(ふかん)し、イメージを膨らませていたことが功を奏した。

 

 高い守備力と周囲を見渡す視野の広さ。片野坂監督は島川の適性を見抜いて、より輝ける居場所を与えた。それが3ボランチの中央だった。展開力やパスにも磨きがかかり、大分の特徴である低い位置から操舵する役割も担う。「ただ周りをカバーするだでけはなく、その後のつなぎもしっかり狙いたい」(島川)。自らの殻を破り始めた苦労人は、自らの理想に近づくために日々精進する。

 仙台戦後、「開幕前にけがをしてチームに迷惑を掛けた」と話し、ようやくチームの勝利に貢献できたことを喜んだ。

 

チームの勝利のため、懸命に走った

 

(柚野真也)

大会結果