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全国高校選抜ボクシング男子ミドル級3位 木下幹太(鶴崎工業3年) 強くなるヒントをつかんだ

全国高校選抜ボクシング男子ミドル級3位 木下幹太(鶴崎工業3年) 強くなるヒントをつかんだ

 頑張り屋の少年が九州チャンピオンを経て、大きく成長した。3月の全国高校選抜ボクシング大会で、木下幹太(鶴崎工業3年)は男子ミドル級3位となった。「試合中は記憶が飛んでいた。意識が戻り、銅メダルを見たときに3位になったんだと実感した。できることはやった。でも、悔しさもある」(木下)。激戦を終えて3日後。痛みも疲労も抜けきれない中、練習を再開した。「課題が明確になった。インターハイ(全国高校総体)優勝に向けてやるしかない」。次の明確な目標に向けて動き出した。

 

 高校からボクシングを始めた木下だが、身体能力が高いわけでもなく、器用でもない。当初は今より体重が10㌔以上重く、ぽっちゃり体型だった。2つ年上の兄がボクシングをしていた影響があったとはいえ、争い事を好まず、心優しい性格はボクシングに不向きのように思えたが、そうではなかった。「幹太は秘めた闘志があり、人一倍努力できる才能があった。きつい練習も逃げ出さない強い心。これがボクシングには必要な条件」と飯田育夫監督。同級生が次々と退部する中、歯を食いしばり黙々と練習した。

 

努力で強さを手にした木下幹太

 

 ボクシングに向き合った時間が、そのまま実力となった。ふた夏を越えた頃からメキメキと頭角を現し、九州を制するまでに成長した。インファイター型の木下は、相手の懐に入り、打ち合いに持ち込むスタイル。一発のパンチで勝負が決まるミドル級において、当然、不安や怖さはあるが「やるしかない」とひるまずに前に出る。この一点の曇りもない思い込みが木下の強さなのかもしれない。ガードを固め、相手が根負けするまで追い詰める。愚直に前へ、前へ。このスタイルが見る者を魅了し、木下の試合は声援が多い。

 

 全国選抜大会では、木下をパワーと技術で上回る相手を次々と倒した。準決勝で力尽きたが、木下は「もっと足を動かして、(相手の懐に)出入りできるようになりたい。技術を磨き、パワーをつける。やることは多いけど、それだけ成長できる」と強くなるヒントを得てうれしそうだ。木下の躍進は他の部員にも力を与えた。「幹太がやれるなら俺も」。そんな空気が練習場に漂う。

 強さとは何か、の問いに木下は答える。「日本一にならないと分からない。まずは、そこを目指したい」。これからも黙々と練習する日々は続きそうだ。

 

全国高校総体で日本一を目指す

 

(柚野真也)