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トリニータ J1開幕直前特集③今季初得点は誰だ!?

トリニータ J1開幕直前特集③今季初得点は誰だ!?

 開幕戦を迎えた大分トリニータで3人のストライカーが存在感を放っている。JFLから這い上がった不屈のストライカー藤本憲明が気を吐けば、昨季J2で22得点を量産したオナイウ阿道、開幕に向けてキレのある動きで得点感覚を研ぎ澄ます伊藤涼太郎も先発定着に向けて猛アピールする。

 今季のチーム初ゴールは誰が決めるのか。飛躍の予感が漂う点取り屋たちの可能性に迫った。

 

 藤本憲明

3年連続開幕ゴールを狙うお祭り男

 

 藤本憲明はゴールを奪う典型的なストライカーだ。常に前線にポジション取りし、“パスが来たら俺が決める”というスタンスを貫く。JFLのSP京都からJ3鹿児島(現J2)、昨季は大分に加入し、今季はJ1の舞台に立つ。鹿児島時代は2年連続でJ3得点王となり、昨季は大分でチーム最多タイの12得点。活躍の場を求めて自らの得点で成り上がってきた。その藤本にはブレない基準がある。「点を取った奴が評価される。それがFWでしょ」。

 

 今季は大分で2年目のシーズンを過ごす。「昨年とは大違い。チームの戦い方、カタさん(片野坂知宏監督)の考え方も理解できている。何より周りの選手が俺の特徴を分かってくれている」。自分の居場所づくりから始めた昨季と違い、チームになじみ、本来の“エゴイスト”を受け入れてくれた環境はゴール量産を後押ししてくれそうだ。

 

 パスの出し手が顔を上げた瞬間に藤本は空いたスペースに抜ける。この絶妙なタイミングが合えば得点できるという。昨季の前半戦は、このタイミングのすり合わせに時間を要した。実際に藤本が得点を伸ばしたのは後半戦からだ。今季は序盤から「ガンガン(得点を)狙いたい。開幕戦はいいイメージしかない」と強気だ。2年連続異なるカテゴリーで開幕ゴールを決めた“お祭り男”のJ1初ゴールは鹿島戦に照準を合わせているに違いない。派手な一発をかましてくれそうだ!

 

開幕に向けて気負いはない

 

 

伊藤涼太郎

変貌する若きストライカー

 

 「コンディションは万全、体はキレているし、J1でどれだけ自分が通用するか楽しみ」。対外試合で今季チーム1号となるゴールを決めた伊藤涼太郎は、好調を維持したまま開幕戦を迎える。今季加入の東京オリンピック代表を狙う逸材は、藤本やオナイウに比べストライカー色は強くないが、今季“公式戦”初ゴールは、この男から生まれそうな気配がある。

 

 これまでの対外試合を見ると、2トップの一角やトップ下での出場が多く、セカンドストライカーとしての役割を担った。狭いエリアでも臆せず仕掛けるメンタルとテクニックがあり、大分特有の連係で崩す攻撃は肌に合っているようだ。「大分のサッカーは見ていて楽しかったが、実際にプレーした方が楽しい」となじんでいる。

 

 伊藤は幅広い動きでボールを引き出して攻撃を活性化し、味方のゴールをアシストする活躍を見せている。また、ボールを奪い取る攻撃的な守備から決定機を生み出す。その働きは高く評価され、片野坂監督の戦術にも素早くフィット。順応性の高さを示す一方で、もっとゴールに近い位置にいて、自身が得点できるチャンスを増やしたいと思っているはず。このジレンマに折り合いをつけて、チームを勝利に導いていくか。選手としてレベルアップできる環境にいるはずだから、今後どんな成長を見せるのか楽しみだ。

 

 開幕はアジア王者の鹿島と対戦する。「ビビる必要はない。自分たちのサッカーをすれば勝てる。ゴールで勝利に貢献したい」。大分でのファーストゴールは間違いなく近づいている。歓喜の瞬間が訪れるのは、もはや時間の問題かもしれない。

 

コンディション良好、チーム初ゴールを狙う

 

トリニータ J1開幕直前特集

2019モデル、開幕戦はこう戦う!

指揮官インタビュー

 

(柚野真也)

オナイウ阿道

ワンチャンで1点を生み出す

 

 得点源として期待がかかる注目の新戦力。各年代の日本代表に選出されたオナイウ阿道は、ストライカーとしての高い能力が昨季ようやく開花した。J2山口で22得点、ゴール数が評価されることはもちろんだが、得点パターンの多さが目を引く。「どんな形でもゴールできるのが僕の特徴」と本人が語るように、今季も多彩なゴールシーンを見せてくれそうだ。

 

 父がナイジェリア人、母が日本人のオナイウは身体的資質、能力に恵まれている。ポストプレーもこなし、1トップでも2トップでもコンスタントにゴールを決める。高くて強くてうまい三拍子そろった理想のストライカーだ。加入当初は複雑なポジショニング、チーム戦術に戸惑い、ボールに触れることができずに孤立する場面が多かったが、開幕を目前に急激にチームにフィットしてきた。

 

 前線からの守備や味方をフリーにさせるおとりの動き、スペースを作るためためのランニング、攻撃の基準点となるポストプレーなど無難にこなすようになったが、ストライカーとしての条件で最も重要なのが“点を取ること”であるのは間違いない。「チームのやりたいことは分かっている。選手の特徴もつかんだ。(出場する)チャンスがあればゴールを狙いたい」。

 

 開幕の鹿島戦では苦戦は必須。それでも「ワンチャンスはある」。オナイウのゴール前での個人技は、1試合に1点を生み出す力を持っている。

 

 ピッチに立てば何かやってくれそうな雰囲気がある