大分上野丘高校ラグビー部 佐藤武信(3年) file.827
ラグビー
花園まで、あと一つ 全国高校ラグビー大会県予選決勝プレビュー
全国高校ラグビー大会県予選は、33年連続57回目の優勝を目指す大分舞鶴と悲願の初優勝を狙う大分東明が決勝に進んだ。決勝は11日、大分市営陸上競技場で行われる。
6月の県高校総体に続き、再戦となる
大分舞鶴 自慢のFWにBKが一体となる展開ラグビー
鋭いタックルと密集戦への素早い寄せで相手ボールを奪い、キレのあるBKの個人技で好機を次々とものにする。「昨年よりFWは(平均体重が)軽くなったが、スクラムだけでなく、ラインアウトや密集戦もタイトにでき、BKと一体となってチーム全体でトライできるようになった」と成重颯人(3年)。今年の大分舞鶴は自慢のFWで押し切るスタイルに加え、展開ラグビーで勝負する。
展開ラグビーの中心に松島聡(3年)が君臨する。1年生の時からピッチに立ち、数々のトライを決めてきた。最終学年となり、体は大きくなったが動きのキレは落ちていない。何より強気な性格はチームのポイントゲッターとして勢いをもたらす。準決勝まで正確無比なキックを披露した井上光(3年)も好調だ。「キックの感触はいい。練習の時から試合をイメージし、その通りに蹴っている。ランで見せ場をつくれていないのが残念」と、持ち味を存分に発揮するのは決勝までお預けと言わんばかりに自信に満ちあふれている。
堀尾大輔監督は、「攻撃の力は上がった。全国トップレベルのチームとも戦えるようになった。集中力を切らさず、最前線でボールタッチの回数を増やしたい。FWが奮起すれば決勝も問題ない」と話す。県予選決勝に向けて油断はないが、さらに一歩進んで全国大会での躍進を見据えている。
大分東明 悲願の初優勝に向け、着々とレベルアップ
3年連続決勝の舞台に立つ大分東明は、キャプテンの河村陸と江里口真弘のチームの核となる3年生が、けがから復帰した。「2人のいない間に1、2年生の強化を図り、実戦経験を積ませることでチームの底上げができた」と白田誠明監督。6月の県高校総体が終わってからは、個々のフィジカル強化に重点を置き、ウエイトトレーニングとコンタクトプレーを多く取り入れた対人練習を増やし、夏場から秋にかけて練習試合を重ね、鍛え上げたフィジカルをチューニングしてきた。
「やることがクリアになった」と白田監督。前に出てタックル、2人目が素早く球に絡む。相手が密集に4、5人を割いて球を出す頃には守備ラインは既に整っている。「グラウンド全体を使う東明のラグビー」が確立した。1、2年生主体の秋季大会で成果は現れ、大分舞鶴に勝利した。白田監督は「春に7人制でも大分舞鶴には勝っているし、苦手意識はない。勝負できる」と手応えを感じている。
ここ数年で部員数は増え、フィジーからの留学生も加わり、打倒・舞鶴に向けて着々とチーム強化は進み、距離を縮めてきた。1年生の頃から主力としてプレーし、チームの成長を見ている河村は、「新しい歴史をつくりたい」と大きな野望に燃える。大分舞鶴との一戦を控え、「まずは最初の15分で先制し、主導権を握りたい。後半は最後の15分で畳み掛け逃げ切る」と勝利のプランを描く。
(柚野真也)