バサジィ大分 つかんだ初勝利 走って守って決めた 【大分県】
フットサル
バサジィ・フットサル チーム内競争がレベルを引き上げる
今季初の連勝で3位に順位を上げたバサジィ大分。伊藤雅範監督が「勝ちに値する試合だった」と総括した8節のフウガドールすみだ戦は、序盤に2失点したが、原田浩平の今季初ゴールで息を吹き返すと、守備から攻撃への切り替えの速さが増した。原田と同じピヴォ(ゴール前に一番近いポジション)のポジションを争う上福元俊哉、レイチが得点して勝てたことも今後への弾みとなるに違いない。
この試合でバサジィに勝利を呼び込んだ要因は、チーム内に浸透する競争意識の高さに尽きる。今季は正GKのマルセロを固定し、フィールドプレーヤーはレイチ、田村龍太郎、熊谷知紀、森洸のファーストセット、上福元、白方秀和、ヴィトン、吉田圭吾のセカンドセットを交互に使っている。二つのチームを作ることで、出場時間がシェアされ、疲労を抱えずに全力でプレーできる。反面、二つのセットに入らなかった選手は出場時間が激減する。ただ、伊藤監督は1試合のうち、数分だけ二つのセットに入らなかった選手にチャンスを与える。そこで結果を残せば次は出場時間が増え、ゆくゆくは二つのセットの選手と入れ替えるという算段だ。
チーム内の競争を促す伊藤雅範監督
すみだ戦で先制点を決めた原田は、昨季は主力としてチームに君臨したが、今季はベンチに入ることさえできない時期が続いた。すみだとの試合では、2点リードされた展開で出場機会が訪れる。「(得点の)においのない時間帯だったので、個人で点が取れる浩平を使った」と話す指揮官の期待に応え、ファーストプレーでチームに勢いをもたらすゴールを決めた。その後、けがでコートを退いたが、後半は膝にテーピングを巻き、コートに立ち続けた。「今、自分の置かれている立ち位置を考えたらベンチに座ることなんてできない。試合に出て結果を出し続けるしかない」と35歳のベテランには危機感しかない。
必死の形相でボールを追うベテランの姿を見て、先発に名を連ねる選手が奮い立たないわけがない。「運動量で相手を上回ることは誰でもできる。そこができなければコートに立てない。メンバーから外れている選手が結果を出しているし、自分たちもそれ以上のパフォーマンスを出さなければ居場所がなくなる」と田村龍。この試合では原田と同じピヴォのレイチ、上福元もゴールを決めてアピール。ポジション争いは激しさを増す。伊藤監督が「バサジィのピヴォはFリーグ屈指」と自負するメンバーが高い次元でポジション争いを演じることで、チーム強化に欠かせない競争意識が芽生えている。
今季、大型補強を敢行したチームは、対戦相手の監督から「大分は素晴らしい補強をして、昨季とは全く違うチームになった」と言わしめるまでとなった。
ポジションを勝ち取るために結果が求められる原田浩平
(柚野真也)