
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
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5戦未勝利のトンネルを抜け、勝利を収めただけではなく、戦い方の幅も広がった印象だ。21節の徳島戦で3失点、続く甲府戦で4失点と大量失点したことで自信を失っていたが、23節からの3試合は勝てはしなかったが試合内容は決して悪くはなかった。
例えば、25節の愛媛戦は10人が自陣深くに引く徹底した籠城戦を行った相手に対し、後半は3−4−2−1から3−3−2−2、4−3−3とシステムを変更して中盤、前線の枚数を増やして応戦した。23、24節に続き、決定力を欠き無得点に終わったが、26節の岐阜戦では試合開始から中盤に3人のボランチを並べる3−5−2のシステムで主導権を握り、2−0で勝利を収めた。
西山哲平強化部長は「なかなか勝てなかったが不安はなかった。選手は試合ごとに監督の戦術を理解していたし、あとはどうやって得点し、失点をゼロに抑えるかだけだった」と監督や選手を信じていた。「対戦相手に応じて選手を選べ、スタイルを変化させ、より結果を出せるチームになった」と分析する。
練習後も選手間で話し合う場面が増えた
ここ数試合、同じメンバーで続けて戦った試合はなく、システムも変わる。固定できないのか、あえて固定しないのかを片野坂知宏監督に問うと、「大枠はあるが、相手に合わせた対応を考えながら、それぞれがプレーしやすいようにしているだけ。普段のトレーニングで選手が特徴を出せば、それによって配置が決まる」との答えが返ってきた。
片野坂監督はゲーム形式の練習の中で、攻守にわたってスペースを制圧し、位置的、数的、質的優位を獲得する「ポジショナルプレー」を徹底している。プレスのかけ方や、ポジション取り、ボールを奪った後の動きなどを、具体的なアクションを交えながら事細かに指示を送る。この戦術ルールをベースに、最近は選手が入れ替わっても応用ができている。
出番に備えコンディションを高める藤本憲明(左)と林容平
一方で課題は失点の多さだ。特に先制され、相手に引かれると点を取るのは簡単ではない。勝てなかった時期は、どの試合も先制されている。ゴールキックからパスをつなぐスタイルであるため、ミスが失点に直結することは承知の上だが、割り切ってロングボールを多用することも考え、猛暑をいかに乗り切るかも指揮官の腕の見せどころとなる。
強化部は指揮官を後方支援するために、岡野洵を千葉から期限付き移籍で獲得し、グレミオやクルゼイロなどブラジルの名門クラブで活躍したウィリアン エンリケ アントゥネスも加入が決まった。両者とも身長185cmを越える長身センターバックで、「足元の技術も高く、トリニータのスタイルに合致する選手」と西山強化部長は高く評価している。また、夏の補強として登録期間(ウインドー)が閉まる今月17日まで、「前線の選手を含め監督と話し合いながら考えたい」と新たな選手の獲得の可能性はゼロではないと明かした。
ボランチの前田凌佑、DF岩田智輝といったこれまで出場機会に恵まれなかった選手が先発争いに加わり、チーム内の競争は激しさを増している。より高みを目指している姿に触れると、おのずと期待は膨らむ。片野坂監督の目指すスタイルが、これからどのように変化し、進化するのか-。J1昇格へ、クラブ一丸となって挑戦する姿を見届けたい。
最終ラインの起爆剤として千葉から加入した岡野洵
(柚野真也)
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