バサジィ大分 つかんだ初勝利 走って守って決めた 【大分県】
フットサル
バサジィ・フットサル 序盤戦のサプライズを読み解く
開幕から5試合を終えて3勝1分1敗、バサジィ大分は勝点10でシュライカー大阪と並び、得失点差で上回り2位となっている。昨季、最下位のチームのここまでの戦いぶりは誰も予想できなかっただろう。躍進の要因は、徹底したハードワークにある。“魂のハードワーク”と名付けたくなるほど、全員が球際で戦い、ボールを奪い取ろうとする。誰一人手を抜くことなく、ボールを奪ったら素早く攻撃につなげるというスタイルは、なかなかできるものではない。伊藤雅範監督が積み上げたものが、しっかりチームに浸透していることの現れだ。
ホームで今季初白星を挙げた7月15日の第5節エスポラーダ北海道戦では、3連勝と勢いに乗る相手に対し臆することなく自分たちのスタイルを貫いた。北海道の小野寺隆彦監督に「何もやらせてもらえなかった。大分の勢いに押された」と言わしめた。この試合では、ボールの奪いどころを相手陣内に設定し、攻撃的なアプローチがうまく機能した。2得点の田村龍太郎は「練習から対人の強度にこだわり、1対1で負けるなと監督に常々言われている。やることがハッキリしているので連動しやすい」と勝因を口にした。
「勝つことでチームの雰囲気は良くなっている」と田村龍太郎
新加入の上福元俊哉とレイチが務める、相手ゴールに一番近いポジションにいるピヴォがフィットしてきたのも、今後に向けての好材料だ。ともに身長180cmを越える屈強な体を生かしたポストプレーで、前線でボールを収め、仲間の攻撃を促す。「何千回も何万回も練習してきた形」という上福元が得意の、相手を背負いながらの“反転シュート”が北海道戦では鮮やかに決まり、「分かっていても止められなかった」と相手指揮官は舌を巻いた。伊藤監督も「Fリーグトップのピヴォがウチにはいる」と称賛する。「素晴らしいピヴォを生かすためにも、今後はボールの運び方をテーマにしたい」と話し、魂のハードワークに加え新たなモチベーションを与えることで、選手たちの意欲をかき立てようとしている。
これから先、特に消耗の激しい夏場にこのスタイルを継続できるか分からないが、選手の個性や能力を理解した上で、それに見合ったフットサルをするだろう。伊藤監督は次なる一手を考えており、「クラブに補強のお願いをしている」とさらなる戦力アップを図り、夏場を乗り切る算段だ。今季は半分以上の選手を入れ替え、チーム内の競争が増したことで、練習から活気があふれ序盤戦の勢いにつながった。今後も夏場の補強で競争はさらに加速し、戦力の底上げという点で最高の起爆剤となるだろう。
前線で起点となる上福元俊哉
(柚野真也)