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トリニータ 馬場賢治インタビュー「もう一度J1でプレーしたい」

トリニータ 馬場賢治インタビュー「もう一度J1でプレーしたい」

首位でJ2リーグ戦を折り返した大分トリニータ。チーム最多の8得点を挙げ、攻撃陣を活性化した馬場賢治に話を聞いた。

 

攻撃の潤滑油として先発に定着

 

 シーズンの折り返し地点にあたる21節が終了したJ2リーグ。トリニータは12勝4分5敗、勝点40で首位をキープ。今季の目標がJ1昇格プレーオフの出場権を得られる6位以内であることを踏まえれば上出来であるが、リーグ戦が半分終わっただけで安心してはいられない。「簡単に勝った試合なんてない。世間一般で言われる上位チームの戦い方をしていない」と馬場が話すように、選手たちは貪欲なまでの向上心を持っている。

 

 片野坂体制3年目の今季、白星スタートの後、勝てない試合が3戦続いた。5節水戸戦で馬場が1.5列目となるシャドーに入ってからは、チーム全体の動きが良くなり、狙い通りにパスを回して敵陣まで攻め込むことができるようになった。チーム最多の8得点を挙げる馬場について、西山哲平強化部長は「相手が嫌がる位置でボールを受けることができる」と話し、片野坂知宏監督は「相手の変化を見てポジションを取り、試合を組み立ててくれる」と評価する。

 

 1トップ2シャドーの布陣を敷く前線は選手の入れ替わりが多いが、馬場は5節からずっと先発に名を連ねている。夏場に入ってもコンディションは良好で、鋭く仕掛けることもあれば、1タッチでテンポ良く味方とのパスワークを楽しみ、巧みなポジショニングでパスを受ける。J1昇格に向けて着実な歩みを見せるトリニータにおいて、もはや代え難い存在と言っていい。

 

 今季、讃岐から完全移籍で加入した馬場だが、当初は「ポジショニングを含めて、あれもしなければ、これもしなければとメンタル的に余裕がなかった」と打ち明ける。しかし、今は迷いが吹っ切れたようだ。仕掛ける時は思い切り仕掛け、それで抜け切れなくとも相手を引きつけられるし、星雄次との連携による、サイドからの崩しにも手応えを感じている。求められるプレーが整理でき、シンプルに考えられるようになって、サッカーを楽しむことができている。

 

 「いい状態だと思う。快勝した試合は少ないけど、これを続けていくことが大事。前半戦は良かったけど、と言われるのは嫌だし、気を抜かずにこれからもやっていきたい。もちろん常に気を張っているわけではなく、意識し過ぎないというか、まあ普段はのんびり過ごしている(笑)」と今月7日に33歳の誕生日を迎えるベテランに気負いはない。

 

今季、讃岐から完全移籍で加入した馬場賢治

 

どんな形でもJ1昇格が目標

 

 神戸、湘南でJ1を戦った。「もう一度J1でプレーするために大分に来た」と語る馬場は、J1昇格に向けて強い思いを持つ。「チームが勝てるなら誰が得点を取ってもいい」と黒子になることもいとわない。「相手のサイドバックとセンターバックとボランチの真ん中ぐらいに顔を出して、そこから起点になれるといい。そうすることで(星)雄次が上がるスペースがつくれるし、前線の3人の連係で崩すこともできる」。ペナルティエリア付近でボールを受ければ、最初の選択はまず前を向いて、シュートが打てれば打つ。それができなくとも、周囲にいる味方との連携でゴールを脅かす。攻めの選択肢に困ることはない。

 

 連動性のある攻撃は、現在のトリニータの好調を支える要素の一つだ。「メンバーが変わっても同じ戦い方ができているし、連動性は上がっていると思う」。どのチームが相手であろうと点を取る自信はある。「ただ、失点がね…」。リーグトップの総得点38の攻撃力を誇る一方、2-6(16節甲府戦)、0-3(21節徳島戦)と大味な試合がある。攻撃的なスタイルを貫くチームに避けては通れない道だとしても、攻守のバランスについては今後、チームとして詰めていかなければならないだろう。

 

 「それでもウチはミーティングがしっかりしている。スタッフの方たちが、修正点とか、スカウティング(相手チームの分析)を含めて、細かく指示し、やることが徹底している」。選手間の意見交換も活発だ。昨季に比べて話し合いの回数が増えている。「ああしよう、こうしよう、という具体的に戦術について発言することが多くなった。みんな勝ちたい気持ちが強くなっているというか、お互いがやりやすいように意見を出し合うことで、意思疎通も良くなっている」

 

 片野坂監督がよく口にする「積み上げ」という言葉の下、攻撃サッカーで勝利を求め、一枚岩の結束を見せるトリニータがリーグの先頭に立っている。「最終的にこの位置にいたら最高だけど、まだまだ先は長い。僕はどんな形であってもJ1に昇格したい」。練習でも手を抜かず、ピッチを駆け回る馬場の姿があった。

 

後半戦も馬場の活躍がチームの勝利を呼び込む

 

(柚野真也)

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