バサジィ大分 つかんだ初勝利 走って守って決めた 【大分県】
フットサル
バサジィ・フットサル 仁部屋和弘インタビュー「勝利こそすべて」
フットサル日本代表の中心選手として活躍する仁部屋和弘だが、決して順風満帆とは言い切れない、山あり谷ありのフットサル人生。苦難に直面した時も、必ずプラス材料を得て成長してきた。昨季のFリーグでは最下位という屈辱を味わった。2月のAFCフットサル選手権チャイニーズ・タイペイ2018(AFC選手権)では準優勝したが、全く納得していない。日々、前進する仁部屋の逆襲はここから始まる。
どんな時でも最高のプレーをするのが日本代表選手
——まずは、2月のAFC選手権の話から聞かせてください。日本代表は準優勝しましたが、結果についても自身のプレーにも納得していないようですね。
優勝を狙っていたので残念です。まだまだだと感じました。監督がブルーノ・ガルシアに代わり、初めての大きな公式大会。2年前のワールドカップ出場を逃したので、新しい日本代表を示すために結果が欲しかった。ただ、決勝戦のイラン戦(0−4)は数字以上の差はなかったと思っています。決定機の数は同等でしたし、内容は上回っていたので、勝ちたかったです。
——ミゲル・ロドリゴ監督からブルーノ監督に代わって、日本代表はどのように変わりましたか?
まずはスタッフの数が増えて、細かいところまで目が行き届いています。選手はフットサルに集中できる環境になりました。戦術面では、オフェンスもディフェンスもより強度を求められています。特にディフェンスでは運動量、相手に寄せるスピード、激しさ、球際。戦わないと今の代表には入れない。そんな空気が流れています。
——20歳のときに初めて日本代表に選出され、30歳になった今も主力選手として活躍しています。仁部屋選手が日本代表チームで求められていることは?
ミゲル(前日本代表監督)のときもそうでしたが、ブルーノにも「アジアNo.1の選手になって、チームを引っ張ってほしい」と言われています。AFC選手権の前に1対1で話すことがあったのですが、そのときに「僕が監督になって満足できるプレーをしてもらっていない。この大会はアジアNo.1選手なんだと示してほしい」と言われました。だからこそAFC選手権で結果を残したかった。期待に応えられなかったことが悔しいし、申し訳なかったです。
——昨季のFリーグはけがで出遅れ、トップコンディションにはほど遠かった。その影響もあったのですか?
どんなコンディションであっても最高のプレーをするのが日本代表の選手なので言い訳はできません。バサジィで結果を残せていないのに、代表合宿に招集されていました。代表では一気にトップコンディションに持っていかなければならないので、じっくり体をつくる時間がないまま、だましだましでやってきました。メンタルの部分も充実しておらず、何も整っていませんでした。それで通用するほど甘い世界ではないということです。僕の昨年の1年間の力が出たということです。
「AFC選手権で結果を残したかった」と仁部屋和弘
勝つことでしか道は開けない
——この経験は今後どのように生かされていくのでしょうか?
正直、負けて得るものはない、というのが僕の考えです。リーグ戦で最下位になったことも、AFC選手権で優勝できなかったことも。悔しい経験を忘れないで次に生かすという考えもありますが、僕は勝つことで道は開けると思っています。勝利にこだわり結果を追求する。そこに集中したいです。
——「勝利こそすべて」という考えは、いつ頃から芽生えたのですか?
20歳のときに初めて日本代表に選ばれた頃です。自分の成長を実感できたし、戦う楽しさを知りました。日本のトップ選手が集まって、海外の代表と真剣勝負をする。互いに人生を懸けて戦うんです。勝てば環境がガラリと変わる。ゾクゾクする緊張感がたまらなく、それと同時に勝って得る栄誉と負けて失うものの大きさを知りました。負ければ、これまで積み上げたものが何も評価されないのです。そこからですかね、「勝利こそすべて」という考えに至ったのは。
——日本代表で影響を受けた監督、選手は?
ミゲルには感謝しています。調子がいいときも悪いときも代表に呼んでくれて、いつも「(日本代表は)お前のチームなんだから誇りと責任を持て」と言われ続けました。2012年のワールドカップ直前に最終メンバーから外れたときも、「お前の復活を楽しみにしている」と言われました。そこから本気で世界一のフットサル選手になろうと思いました。2016年のワールドカップは予選で敗れ出場できなかった。だからこそ2020年のワールドカップで僕が世界一の選手であることを証明したい。そのためには最高のプレーをして優勝したい。そこに照準を合わせて体づくりをしたいです。
——さて、3月2日から全日本フットサル選手権大会が始まります。リーグ戦では不本意な結果に終わったチームにとって、今季最後のリベンジの場となります。
AFC選手権が終わって1週間のオフをもらい、少し充電できました。久しぶりにフットサルから完全に離れられたことでリフレッシュできました。今はフットサルが楽しい。僕は純粋にフットサルが好きだからここまでやってこれた。好きだから練習もできるし、遊びたい時間も削って、すべてを犠牲することができました。今はメンタルもフィジカルも充実しているので最高のパフォーマンスを見せることができると思っています。目標は優勝。それしかありません。
全日本フットサル選手権がチームにとっても仁部屋にとってもリベンジの場となる
(柚野真也)