
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
女子バスケットボールWリーグのデンソーに所属する大分市出身の笠置晴菜は11日、Wリーグ大分大会に出場した。中学卒業後、大分で初めての試合。「緊張したけど、みんなが応援してくれて嬉しかった」と元気な姿を見せた。
滝尾ミニバスケットボールスポーツ少年団でバスケットボールを始め、才能は急速に花開いた。穏やかで感情をあまり表に出さない内気な子どもだったが、ボールを自由自在に操り、コートを駆け抜けた。戸次中学校では全国中学大会に出場。当時の監督、瀬山英則(原川中学校教諭)は「判断力が優れていた。特にスピードがあるわけではなかったが2手、3手先のプレーを読める力があった。シュートもうまく、よく大事な場面で3点シュートを決めてくれた」と振り返る。
高校は名門・昭和学院高校(千葉県)に越境入学し、そこでも才能を発揮した。1年生の時から試合に出て、U-16日本代表で初めて「日の丸」を背負い、U-16アジア選手権で準優勝、U-19代表の主軸として世界選手権で4位となった。そして、高校卒業後は「高いレベルでどんなプレーができるか挑戦したかった」と大学を経由せずに実業団のデンソーに入り、日本トップのリーグに身を置くことになった。
高いレベルに身を置く笠置晴菜
順調にサクセスストーリーを歩んでいるが、高校3年の時には右膝前十字靭帯損傷で選手生命が危ぶまれた。一刻も早い回復を目指して懸命なリハビリをこなし、復帰した。「これまで長期間休んだことがなかったので、練習や試合から離れている間は、復帰して元のプレーができるか不安があった。あのけが以降は、バスケに対する気持ちが強くなった」。バスケットボールができるモチベーション、感謝の気持ちが今のプレーにつながっているという。
デンソーではベンチに座る時間は長い。高卒ルーキーがいきなり試合に出場できるほど甘い世界ではないが、エースガード稲井桃子のファウルが重なった時やけがをしたときの代役として、試合出場時間を少しずつではあるが伸ばしている。「ミスが多くてまだまだ実力不足。信頼を勝ち取らなければいけないが、新人なのでミスを恐れず、強気なドライブで得点やアシストを重ねアピールしたい」とポジティブだ。
凱旋試合となった大分大会では、「先輩や後輩が応援してくれ励みになった」と感謝の言葉を述べ、「今度、大分で試合があるときは長い時間プレーができるようになっていたい」と力強く語った。「最近、A代表(年齢制限のない日本代表)の合宿に参加させてもらい刺激を受けた。自分もいつかここでプレーするんだと思えた」と新たな目標が定まった。期待の新人は、まだまだ成長途中だ。
ベンチに座る時間は長いが着実にプレータイムは伸びている
(柚野真也)
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