
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
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サッカーの県高校新人大会は28日、大分市のだいぎんサッカー・ラグビー場で決勝が行われた。柳ケ浦高校が前後半に1点ずつ奪って大分工業高校を下し、6年ぶり4回目の優勝を飾った。
雨上がりのグラウンドは滑りやすく、大きく蹴られたボールの処理は難しかった。前半18分、柳ケ浦のDF上田一成(2年)のロングフィードはやや大きすぎ、相手ボールになろうとしていた。しかし、1トップの芝﨑翼(1年)は、「ミスからチャンスになることもある」と諦めずにボールを追い、相手のバウンド処理ミスを見逃さなかった。そのままボールを奪い、GKと1対1の場面でも冷静に相手の動きを見定め、重心とは反対の方向にボールを流し込み、先制点が生まれた。
芝﨑は昨年の県高校総体から先発メンバーとなり、得点を量産。大会得点王にも輝いた。彗星のごとく現れた1年生ストライカーは、新チームになってから“背番号10”を託され、名実ともにエースとなった。準決勝の中津東戦では途中交代を言い渡され、無得点のまま終わったからこそ、決勝での得点を誰よりも喜んだ。「準決勝が終わって(野口健太郎)監督から大舞台で得点を決めてこそエース。お前が本当のエースなら点を決めてこい」と激励されたことを明かした。
柳ケ浦の前評判は決して高くなかった。昨年10月の全国高校サッカー選手権大会県予選で、まさかの初戦敗退。新チームになってからも思うように結果が出なかったが、再生の芽は力強く伸びていた。大石純也ヘッドコーチは「新チームも特別に能力の高い選手がいるわけではないが、負けを受け止める素直さがあり、負けた理由を突き詰める力が全員にあった」と話す。
今大会、柳ケ浦は技術をカバーする運動量、球際の激しさと攻守の切り替えの速さで他校を圧倒した。「華麗なプレーはできない。でも自分がすべきことを体現する方法をみんなが知っている」と芝﨑。新チームとなり初めての公式戦は幸先良いスタートとなった。6月の県高校総体連覇に向けて上昇気流に乗りつつある。
先制ゴールを決めエースの役割を果たした芝﨑
昨年の県高校総体決勝と同じ対戦カードとなり、またも悔し涙を流した大分工業。キャプテンの矢野達也(2年)は「勝てないのは力がないから」と肩を落とした。
ロングボールを多用する相手の土俵で戦わず、ボールをつなぐ自分たちのスタイルで戦うはずだった。しかし、序盤の失点で浮き足立ち、リズムをつかむまで時間を要した。「スペースがあるんだから、そこを上手く使え」との友成義朗監督の声で落ち着きを取り戻した。ただ、思うようにパスがつながらず、後半途中から2トップの一角である矢野をボランチに下げ、ようやく安定したパスが供給できるようになったが、前線のパワー低下は否めなかった。
「本来の力を出せば勝てる力はあるのだが。そこを出せないのは経験不足でもあり、実力不足。九州大会出場権を得たので、レベルの高い相手に自分たちのスタイルがどれだけ出せるか試したい」と友成監督。課題が浮き彫りなったことで、次の一手が明確になった。6月の県高校総体でリベンジを果たすべく、チームの立て直しを誓った。
後半途中からボランチとして試合をつくった矢野
(柚野真也)
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