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3年生、夏物語2023 野球 エースの責務を背負い続けた児玉迅(大分商業3年) 【大分県】

3年生、夏物語2023 野球 エースの責務を背負い続けた児玉迅(大分商業3年) 【大分県】

第105回全国高校野球選手権大分大会

7月26日 別大興産スタジアム

決勝 

大分商業 000 000 000|0

明 豊  030 000 00×|3

 

 決勝へと駒を進めたが、あと一歩届かなかった。春夏連続の甲子園出場を目指した大分商業のエースとして、初戦となる2回戦から決勝までの5試合で4度先発マウンドに上がった児玉迅(3年)。誰よりも責任感が強く、「チームを勝利に導くのがエース」と言い続けたからこそ、敗戦を重く受け止めた。「一生忘れられない記憶となった」と悔し涙を流した。

 

 春のセンバツ甲子園も先発マウンドに上がり、好投した。その後、夏に向けて体を作り直したのは、「このままでは全国では通用しない」と思ったからだ。走り込む量を増やし、スタミナを強化した。那賀誠監督は「児玉は自分で考えて行動できる。練習だけでなく投球も相手打者と駆け引きできる。私が何か言うことはない」と全幅の信頼を寄せる。児玉は自身で練習メニューを考え、「夏の大会では全試合を投げ抜くために球数を少なくすることが必要」と、自慢の制球力にキレを追求した。

 

キレのある球でエースの役割を担った

 

 児玉には理想とする投球がある。投手は、打者に対し、遅い球をいかに速く、ボール球をいかにストライクにみせるかが勝負の鍵となる。キレのある投手とは「錯覚を起こさせる投手」という。錯覚は持ち球の多さ、制球力、腕の振りなど、いくつもの要素が重なって生まれる。児玉はこれまで投げなかったカットボールを加えた。さらに、投球で最も大事にしているという「ボールが伸びる」感じを生むために回転量を増やした。肩を大きく回し、遠心力が最大になるポイントまで持ってボールを切るように投げることで、打者の手元で伸びるようになった。

 

 最高の状態で迎えた今大会は、準決勝まで自責点0で試合をつくった。ただ、準決勝から「足が重くて下半身が使えず、手投げになった」(児玉)。見えない緊張と疲労の蓄積が顕著に出たのが決勝戦だった。初回は三者凡退で切り抜けたが、2回に3失点し、直後の打席で代打を送られた。ベンチに戻ってからは後続の投手に声をかけ、ピンチの場面では伝令としてマウンドに向かい、仲間を励ました。勝利を信じていたが、願いは届かず高校野球を終えた。「申し訳ないピッチングをしてしまった」とエースとしての責務を果たせなかったことを悔やんだが、「今まで積み上げたことは出せた。後悔はない」と言い切り、球場を後にした。

最高の仲間と3年間を過ごした

 

 

(柚野真也)