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大分工業高校 安藤胡桃 未知の世界に挑戦。やられる前に、やる。

大分工業高校 安藤胡桃 未知の世界に挑戦。やられる前に、やる。

 新しいことに挑戦したい――。高校入学を機に芽生えた感情が即座に行動に移った。新入生歓迎レクリエーションでの部活紹介で、「めちゃくちゃカッコいい」とボクシングの先輩に憧れた。中学時代は合唱部だった文化系女子の安藤胡桃が、格闘技の道を歩み始めた瞬間だった。

 

 体力なし、筋力なし、闘争本能なし。ないものばかりだったが“やる気”だけはあった。練習は強度こそ異なるが、ほぼ男子と同じメニュー。「ただただキツかった」。それでも辞めたいと思うことはなかった。監督の方針に助けられたこともあった。「技術がついて体力、精神力は後でついてくるもの」と池端敬介監督。平日の練習は室内でのミット打ちやシャドーなど技術向上のために練習に重きを置く。なんとか食らい付いた。

 

 それでも男子とのスパーリングは怖くて、逃げるばかりだったようだ。人生で殴られたことなどなかった安藤は、初めてパンチを受けた時を振り返る。「頭がふらつき、めまいがした。それから涙がいっぱい出た」。でも辞めなかった。

 

今年の4月からボクシングを始めた 

 夏休みの猛練習に耐え、ひと夏を乗り越えたことで、心の変化に気付いたという。「ボクシングに対する意欲が出てきた」。スパーリングでも逃げずに、前に出るようになった。“殴る怖さ”を聞くと、「最初はあったけど、やらないとやられちゃいますから」とひと言。

 

 安藤はボクシングの魅力をこう語る。「努力の分だけ強くなる。個人競技なので自分次第。勝っても負けても得るものがある」

 来年1月には九州ボクシング新人大会で、初めて同じ階級の女子と試合をする。「未知の世界。そこを経験して課題を見つけ、克服していければいいかな。積極的に前に出て、自分から仕掛けたい」と待ち遠しそうだ。

 

心強い先輩や同級生と1月に九州大会に出場する

 

(柚野真也)