
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
サッカー
明日12日、全国高等学校サッカー選手権大会大分県大会の決勝戦が行われる。今大会は第1シードの柳ケ浦高校が2回戦で敗れ、第2、第3シードも準々決勝で敗退する波乱の大会となった。決勝に勝ち上がったのは第4シードの大分西高校とノーシードの鶴崎工業高校。両校の対戦は、昨年のこの大会の3回戦までさかのぼることになる。大分西の首藤啓文監督は、「延長の末にようやく勝った。やりづらい相手だった」と当時を振り返る。
あれから1年。3年連続決勝の舞台に駒を進め、悲願の優勝に向けて“西高スタイル”を成熟させた大分西。“優勝請負人”として赴任した高校を全国大会に導いてきた松田雄一監督の下、着々と力をつけている鶴崎工業。大分銀行ドームで行われる注目の頂上決戦を展望する。
延長戦でも結果がつかずPK戦までもつれ込んだ準決勝の大分鶴崎戦。辛勝した大分西だが、今大会はどの試合も内容は悪くない。リスクを取りながら、相手の隙をつき、パスで崩すプレーが感じられる。準々決勝の大分南戦では、守りの固い相手に対し、工夫して崩そうとする意図が随所に感じられた。“西高スタイル”とは、中央とサイドを上手く使い分けて相手DFに的を絞らせないのが特徴だ。これは首藤監督が赴任して以来、不変だ。このスタイルに憧れ、技術の高いクラブチーム出身の選手が多く集まった。
今大会はリスクを恐れず果敢に仕掛けていく姿勢を貫いている。大分西は1—0で勝つサッカーではないから、受けて立つより積極的に向かっていく方が、選手たちも明らかに伸び伸びプレーしているし、うまく成り立っている。
さらに踏み込んで個々のパフォーマンスを言及すると、それぞれが持ち味を出している。最終ラインやサイドで起用される宮崎優成(3年)は、いずれのポジションでも自分の役割を把握している。センターバックで出場すれば守備のリスクマネジメントを徹底しながら、攻撃の起点となるくさびのパスで試合をつくる。サイドに入ればボールを引き出す動きやサイド突破で決定機を生み出す。ボランチからトップにコンバートされた幸航平(3年)も少ないタッチ数で周りを生かし、ビッグチャンスに絡む。3年生の士気は高く、下級生にも浸透している。万全の状態でピッチに立つだろう。
攻守で存在感を発揮する宮崎(3年)
36年ぶりの決勝の舞台に立つ鶴崎工業。松田監督は3年前に中津東を率い、優勝を成し遂げている。「決勝の厳しさを選手に伝え、勝つ準備をしたい」と、試合の3日前に決勝の舞台と同じ芝のピッチで練習するなど、細かな部分に気を配り、選手のモチベーションを高めている。
今大会は「堅守速攻」を徹底し、ここまで番狂わせを起こしてきた。攻守の狙いは明確。守備では4バックの後ろにスイーパーを置き、マンマークで相手の自由を奪い取る。攻撃においては手数をかけず、徹底して相手のサイドの裏のスペースを狙う。終了のホイッスルまで走り抜く体力をつけるために走り込みを強化してきた。
おそらく試合は大分西が主導権を握りながら、鶴崎工業が守備的に構える形になりそうだが、相手に押し込まれても、粘り強く戦っていれば鶴崎工業にも勝利をもぎ取る力はあるはずだ。こう着状態が続いた場合、勝負勘のある鶴崎工業が、ワンチャンスをものにする可能性は十分考えられる。
また、両監督の考え方の違いが結果にどう影響を及ぼすかも興味深い。鶴崎工業の松田監督は「リアリスト」であるのに対し、大分西の首藤監督は、どちらかと言えば「ロマンチスト」。前者は現実を追い求めることに力を注ぐが、後者は理想を追求するタイプだ。大分西の長所を消し、タイトルを狙いに来ようとする松田監督の進撃を、首藤監督がどうかわすのか。そのあたりを含め、監督同士の対決もひとつの見どころだ。
快進撃を続ける鶴崎工業
(柚野真也)
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