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リノスフットサルスクール フットボールを楽しみながら成長を重ねる

リノスフットサルスクール フットボールを楽しみながら成長を重ねる

 元バサジィ大分の西村竜司が代表を務め、大分で数少ないフットサルとサッカーの両競技のクラブとして成長したリノスフットサルスクール(以下、リノス)。園児から高校生まで5つのカテゴリーを抱えるクラブは、どんな活動をしているのか。西村の言葉を通して、クラブの理念と実情をリポートする。

 

5つのカテゴリーからなる街クラブ

 

 リノスは2011年に、バサジィ大分でプレーした西村竜司が引退後に立ち上げたクラブだ。フットボールの楽しさを伝えるだけではなく、技術、戦術の上達にも力を入れる。8月に行われた全日本ユース(U-15)フットサル大分県大会で優勝し、21日に始まる九州大会に出場する。また、全国各地で行われる有力チームを集めたサッカーフェスティバルにも積極的に参加し、好成績を収めるなど、ここ数年でメキメキと頭角を現してきた。

 

 クラブには、U-18(18歳以下)をはじめ、U-15、U-12、U-9、U-6と5つのカテゴリーがあり、週3回のトレーニングを実施している。基本的にトレーニングは幼児、小学校、中学・高校とクラスを分けて行っているが、それぞれの間に敷居があるわけではなく、一緒にトレーニングすることも多い。レベルの高い小学生がいれば、中学生のグループに上げたり、中学生を高校のカテゴリーに参加させたり、いわば小中高一貫指導ともいうべき体制をとっている。また、西村が「フットボールに年齢の壁もフットサル、サッカーの競技の垣根もない」と話すように、フットサルとサッカーの両方の大会に出場するなど、既成概念にとらわれないのがリノスの特徴だ。

 

年齢で隔てることなく小中高一貫指導の体制をとっている

 

仲間を大切にし、フットボールを楽しむ

 

フットボールを楽しむことがリノスのコンセプト

 

 西村といえば、コアなフットサルファンならピンとくる人もいるのではないか。日本のフットサル黎明期に関西の雄・MAGSフットサルクラブで活躍し、Fリーグ設立後はシュライカー大阪、バサジィ大分でプレーした炎のストライカーだ。ドラゴンの愛称で親しまれ、気持ちの入ったプレーで観る者を魅了した。

 

 バサジィでプレーしていた頃の西村に憧れ、クラブに入った阿南秋吾(中学3年)は、「ドラゴンコーチに教えてもらいたくてリノスに入った。将来はFリーグで活躍できる選手になりたい」と夢を追う。

 「将来の夢がプロ選手や世界を目指す子どもがいれば、少しでも手助けしてあげたい」と話す西村。高いレベルを求める選手がいれば、選手の成長に合わせて、要求する内容も変化を加えて指導する。

 

 ただし、あくまでも大切にしているのは仲間とフットボールを楽しむ、ということだ。全日本ユース(U-15)フットサル九州大会は、「選手が頑張った成果を試す場」であり、フットボールを楽しむことの延長線上にあるだけだ。そのスタイルを貫く西村のもとで、リノスの選手は伸び伸びと成長を重ねている。

 

炎のストライカーからコーチに転身した西村

 

(柚野真也)

選手の特徴や個性を見極めた指導

 

 一貫指導は、長い時間をかけて選手を見ることで、特徴や個性をしっかりと見極め、伸ばしていけるのが利点だ。今ではそうした視点で活動しているが、立ち上げの時から多くのカテゴリーがあったわけではない。西村は「バサジィでスクールコーチをしていたが、その前にいた大阪のクラブでも指導していた。ノウハウはあったがクラブを作ったころは小学生ばかりで、その子たちの成長に合わせて中学のカテゴリーを作り、最近ようやく高校のカテゴリーができました」と振り返る。

 

 こうして選手の成長とともに活動の幅を広げてきたリノスは、活動内容も固まり、週末の公式戦のほかに、年に数回の合宿や遠征などを行っている。練習会場はエルズフットサル西大分や西部スポーツ交流広場など。日によって選手は異なるが、一度のトレーニングに20~30人が参加する。小学生の頃から通う吉野雄大(中学3年)は、「技術を重要視しているので自分に合っている。テクニックがつくし、細かいところまで教えてくれる。学年の壁がないのも楽しい」と話す。

 

 練習を見ていると、確かに技術の高い選手が目立つ。練習内容がクラブの特徴をよく表していた。トレーニングでは狭いスペースで全員がボールを持って思い思いにドリブルをする。次は1対1、2対2と徐々に人数を増やしていく。

 実践的な練習が多い。「基本となる最低限の蹴ること、止めることは重要だが、ポイントは運ぶこと。蹴る、止めるは反射的にできるが、運ぶためにはパスなのかドリブルなのか判断が必要となる。ここは時間をかけた方がいいと思っている」(西村)

 

 蹴る、止めるをしっかり教える指導者が多いが、運ぶというフレーズを使ってドリブルやパス練習をさせる指導者は多くはない。また、3対3や5対5などのミニゲームでみんながボールに触れられる環境を作っている。全員がボールに関わることで、サポートの意識が芽生え、チーム内での役割も見えてくる。西村のそういったチーム戦術の意識を植え付けるとともに、もうひとつの要素を練習に盛り込むことを忘れない。それは、フットボールを楽しむこと。この理念はクラブ設立から変わらない。

 

小学生の頃から指導を受けテクニックを身に付けた吉野(中学3年)

 

吉野とともに全日本ユース(U-15)フットサル九州大会に出場する阿南(中学3年)

大会結果