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大分トリニータ 心身ともに充実期にある三竿雄斗 「攻守のバランスが大事」

大分トリニータ 心身ともに充実期にある三竿雄斗 「攻守のバランスが大事」

 今季も安定したパフォーマンスを見せている三竿雄斗。守備の立て直しとシステム変更に伴い、6節琉球戦から本職のサイドバック(SB)ではなく、不慣れなセンターバック(CB)で出場している。本人も「あまり経験がない」という緊急コンバートにも関わらず、起用に応え、センターバックでもそつなくプレーする。

 

 大分在籍4年目、31歳となりプレーだけでなく人間性も円熟味を増した感がある。大分加入当初は脚の付け根に痛みが生じるグロインペイン症候群を患い、チームとは別メニューで調整していたが、完治してからは先発に定着し、3年間ほぼフル稼働した。昨年末は他クラブから移籍のオファーがあったが、「長期離脱していたころに、(自分を)見捨てなかったクラブに感謝している」と、チームに残ることを決意した義理と人情の男でもある。

 

 今年は昨年に比べ笑顔が増え、サッカーを楽しんでいるように見える。本人は「そんなことはない」と否定するが、「昨年は勝てないことで自分を追い込み、気持ちを入れすぎて冷静にサッカーができなかった。今年も気合は入っているが、空回りしないようにメンタルのバランスは整えている」という。

 

今季も気持ちの入った守備で味方を鼓舞する

 

 派手さはないが試合の流れを読む能力が秀逸で、相手の長所を消し、自分の仕事をきっちりこなす。前節の栃木戦では、前々節の金沢戦で3失点した試合を猛省し、「カウンターで同じような失点をしないようにした」と相手を無失点に抑えた。攻撃においてはSBでプレーしていたときのように得点に直結するパスはなかったが、精度の高い左足のキックが攻撃の起点となった。

 

 SBに比べCBは攻撃を自重することが多い。「ついつい攻撃に参加したいと思うが、まずは守備。全員を見渡せる位置から試合をつくることを優先している」と話すように、攻守もメンタル同様にまずはバランスを第一に考えている。これまでは淡々と仕事をこなす職人タイプだったが、今季は自分がリーダーだと自覚し、精神的に一皮むけた。ここ2試合、元気のない攻撃陣に対し、「いい形でボールを動かせているし、問題はない。信じている」と穏やかな表情で語った。三竿の言葉から攻撃陣に対する揺るぎない信頼と期待が感じられた。

 

写真は全て大分フットボールクラブの提供

 

チームの勝利のためのプレーを最優先する

 

 

(柚野真也)