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トリニータ 混戦の昇格争い このチャンスを逃したくない

トリニータ 混戦の昇格争い このチャンスを逃したくない

 J2は残り7試合。J1昇格争いは佳境に入った。35節終了時点で、優勝争いは頭ひとつ抜けた湘南(勝点74)が優勢だが、2位福岡(同64)から6位横浜FC(同57)まで勝点差は7。7位の大分トリニータ(同55)は6位との勝点差がわずか2。残り試合を考えると上位との対戦が残っており、プレーオフ圏内(3-6位)はもちろん、自動昇格(2位以内)も不可能ではない。

 

 今季はJ2残留するために「勝点45」が最低限のノルマだったが早々にクリア。次なる目標を「勝点56、ひと桁順位」に設定した。この目標も達成目前となった今、J1昇格プレーオフ進出に上方修正しそうだ。片野坂知宏監督は「今の順位にいるのは選手の頑張りがあったからこそ。結果を出していることは評価してもらえると思う。ただ、まだ何もつかんでいない」と慢心はない。

 

 今季は夏場に4試合勝ち星がないなど苦しい時期が続いたが、その後に3連勝して復調した。キャプテンの山岸智は「自信を失いかけたところはあったけど、自分たちを見失っていたわけではない。いろんな要素があったなかで、やるべきことをやり続けたことが復調できた要因だと思う」と振り返る。

 

 

好調のチームを率いる片野坂監督だが「まだ何もつかんでいない」と慢心はない

 

 結果が出なくてもチームには変わらないメンタルの強さがあった。「結果で一喜一憂しすぎない。時には敗戦を受け入れないといけない時もある。敗戦から学ぶことができた。自分たちはここで立ち止まってはいられないという思いが強かった」(山岸)。GKからパスをつなぎ、ボールを動かし、相手の変化を見てサイドを経由。サイドの深いところまでえぐってから、コンビネーションを使い、中に入り攻撃する。“自分たちのスタイル”をぶれずに追い求めた。

 

 守備においては昨季の4バックから3バックに変更した。片野坂監督は「昨年からカテゴリーが上がり、対戦相手のレベルが高くなった。まずは失点したくないこともあり、守備時には5人で固く守れる3バックを採用した」と明かした。目標の1試合平均1失点以下は達成できていないが、対戦相手や試合状況によってシステムを変更でき、戦い方の幅が広がったことは収穫だった。

 

試合に出ていない選手に声を掛けコミュニケーションを図る山岸(左から2人目)

 

 今季はメンバーをある程度固定して戦ってきたからこそ、攻守においてスタイルが構築できた。ただ、これから厳しい終盤戦を戦うチームが加速するためにはバックアッパーの奮起が必要だ。片野坂監督は「途中で入ってくる選手が勢いを与えてくれれば、それが伸びしろになる」と語り、山岸も「試合の途中からピッチに立つ選手に求めるのは、勢いをもたらしてくれること」と口を揃える。

  

 主力のけがなどで不測の事態が起きたとき、回復を待っていればシーズンは終わってしまう。鈴木惇は累積警告が3枚でリーチの状態で、鈴木義宜、福森直也、後藤優介は2枚。代役の奮起がなければ確実に下降線をたどるだろう。今こそ“新たな刺激”が求められている。

 

 途中出場が多いが、後藤に次ぐ得点源として力をつけている伊佐耕平は攻撃のジョーカーだ。テクニックに優れ、ドリブルで単独突破できるブラジル人アタッカーのシキーニョも試合の流れを変えることができる。ふたりとも先発出場できる実力を持ち、誰もが認めるムードメーカーの活躍は、チームの雰囲気を明るくしてくれるはず。両サイドでサイドバック、サイドハーフもできる岸田翔平。ボランチだけでなく最終ラインのどの位置に入っても計算できるファン・ソンス。バックアッパーたちがポジティブなサプライズを起して、J1昇格プレーオフに進出して、一気に駆け抜けたい。

 

攻撃のジョーカーの役割を担う伊佐

 

(柚野真也)

大会結果