大分上野丘高校ラグビー部 佐藤武信(3年) file.827
ラグビー
ラグビー 勝つためのマインドを備え、卒業生の悔しい思いを晴らす大分東明
3年前に大分舞鶴の花園出場31連覇を阻止し、新王者となった大分東明。以来、県大会では常に大分舞鶴との激しい優勝争いを繰り広げてきた。昨年の全国高校ラグビーフットボール大会大分県予選でも互角以上の戦いを繰り広げたが、大会史上初の同点両校優勝となり、抽選の末、花園出場を逃すという波乱に見舞われた。
「負けてはいない」という不完全燃焼のまま引退した3年生の思いを受け継いでスタートした新チームは初手から快進撃を続けている。1月の県高校新人大会の決勝で大分舞鶴に57-7で圧勝すると、続く2月の全九州高校新人大会でも大量得点で勝ち上がり、全国大会への切符を掴んだ。
白田誠明監督は「うちは昨年から出場しているメンバーが多い。経験値という点で他より有利だった」と言うが、一人一人が昨年の悔しさを胸に「勝つために必要なマインド」について改めて考え、生活面から見直し、練習に打ち込んできた結果だ。
選手たちは圧倒的な勝利にも気を緩めることはない。キャプテンを任されたセンターの浦山丈(2年)は、「まだまだ足りないことの方が多い。勝ったからといって油断したり、できるんだと勘違したりするようでは全国で通用するようなチームにはなれない」と厳しい言葉を紡ぐ。自身をキャプテンとしてはまだまだ未熟だと評するが、その胸の内にはすでにチームを率いる揺るぎない覚悟が芽生えている。
県新人大会決勝で圧勝した大分東明
大分東明のモットーである「エンジョイラグビー」についてもチーム全体で理解を深めている。「エンジョイとは成長を楽しむこと。1年前、半年前、昨日…。過去の自分より成長できると考えれば、きついことも苦しいこともポジティブに捉えることができる」と白田監督。
そういった意味で現在エンジョイラグビーを体現しているのが、プロップの佐藤颯(1年)だ。小、中学とサッカー漬けの日々を送り、「物足りなくなった」と高校に入ってからラグビーへ転向。謙虚かつ真面目な性格で、教えられたことをグングン吸収して目覚ましいスピードで成長を遂げている。経験者が多いチームだからこそ、刺激を受ける者も多いという。
全国での目標はベスト8。「先輩に目標をかなえるところを見せたい」。そんな浦山の言葉に、花園を逃し、泣き崩れた前キャプテン馬越涼の姿が脳裏をよぎった。
自分たちのために、先輩のために。全国では一回り成長した姿を見せてくれるに違いない。
全国高校選抜では8強入りを目指す
(甲斐理恵)