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大分トリニータ チームを勝たせるゴールを追求する長沢駿

大分トリニータ チームを勝たせるゴールを追求する長沢駿

 YBCルヴァンカップ(Aグループ)2節のG大阪戦。今季初のホーム公式戦で、長沢駿は自らのゴールで存在感を示した。前半11分、中川寛斗のCKに対し、高い打点のヘディングシュートでネットを揺らすと、前半終了間際に得たPKも決めた。今年34歳になるベテランストライカーは、「昨季は悔しいシーズンを過ごした。チームの力になりたい」と強い思いを口にした。

 

 昨季は、チームの得点源として大きな期待を背負い加入した。前半戦はコンスタントに得点したが、慣れないポジションや戦術の変化に戸惑い、途中出場が増え、4得点でシーズンを終えた。「僕のポジションは結果が全て。FWは、点を取れば、どのチームに行っても周りの信頼を勝ち取れる」。プロ16年のキャリアで8チームを渡り歩いた男は、「試合に出てこそ」という思いが強い。だからこそ、昨季のプレーに納得はできなかった。

 

 コンスタントに試合に出続ける―。そのためには、チーム内での競争に勝つ能力やコンディションを整える力が必要だが、最も重要なのは戦術をどれだけ理解できるか。監督が代われば、求められるプレーも変わる。チームが目指す方向性や、自分がどんな役割を果たすべきかを分析をするのは重要だ。今季、長沢は練習で、自分が得意なことより監督の求めることを優先して、体に染み込ませていた。

 

前線で体を張る長沢駿

 

 4−3−3のシステムを採用する下平隆宏監督のサッカーにおいて、長沢のポジションは最前列の真ん中。前線で体を張り、チームの素早い押し上げを助けるポストプレーは、いわば攻撃の生命線。ラストパスを待つのではなく、攻撃の組み立てに絡みつつ、サイドからのクロスに走り込んで頭で合わせるなど、組織的に機能できる基準点型のセンターフォワードが理想だ。また、今季からセットプレー対策が綿密になったことで、192cmの高さは絶対的な武器となる。

 

 G大阪戦では、監督の意図を理解し、自分の特徴を発揮した。チームの連係不足もあり、基準点になったとはいえないが、セットプレーでは結果を出した。先制点の場面では相手の動き、味方のポジショニングを把握し、「マークを外せると思った」。バックステップで相手の視界からうまく消えてフリーになり、ヘディングで押し込んだ。「キックの質が高く、合わせるだけだった」とアシストした中川をたたえたが、動き出しと動き直しの質の高さが際立った。

 

 PKの場面でも自らキッカーを志願。昨季の天皇杯準決勝でPK戦を外した「モヤモヤした気持ちを振り払いたかった」と、自らの足で吹っ切った。それでも試合後の表情は晴れない。「勝てる試合だった。まだまだ甘い。リーグ戦で得点を取り続けなければ、昨年の借りは返せない」。得点を求め続ける試合は続く。

 

今季も結果にこだわり続ける

 

 

(柚野真也)