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総括 ウインターカップ大分県予選

総括 ウインターカップ大分県予選

波乱のトーナメントを制した柳ケ浦

新興の藤蔭が旋風巻き起こす

 

 高校バスケットボールの1年を締めくくる、最後にして最大のタイトルである全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)の県2次予選が9月30日、10月1日に行われた。

 3年生最後の公式戦にふさわしく、3年生を中心としたチームが順調に勝ち進んだ。男子は柳ケ浦、女子は中津北が優勝し、12月23日から東京で開催される本大会に出場する。

 

 男子決勝は戦力が充実している第2シードの柳ケ浦と、ノーシードながら爆発的な攻撃力で勝ち進んだ藤蔭が対戦した。準々決勝で前回覇者の第1シード大分舞鶴を破り、準決勝も古豪・日田に競り勝った藤蔭は勢いそのままに、試合開始からフルスロットルで得点を重ねた。創部2年目の藤蔭は、全国大会を7度制した西塚建雄監督がチームを作り、部員も名伯楽を慕い全国から集った。攻撃権が移ってから「6秒以内にゴールを狙う練習をしてきた」と西塚監督が話すように、攻守の切り替えの速いトランジション・ゲームで得点を重ねた。

 

藤蔭の制空権を確保した朱思遠(3年)

 

 一方、初戦からベンチメンバー15人全員にプレータイムを与え、決勝戦まで調整してきた柳ケ浦は万全だった。慌てることなく柔軟に守備システムを変更して対応した。藤蔭のエース森川凌(3年)に対し、守備が得意な小柳優也(2年)を徹底マークさせることもあれば、2−2−1のゾーンディフェンスで相手のミスを誘うなど相手に主導権を与えなかった。特に藤田恵吾、児玉倫、儀間晴多の3年生バックコート陣の外角からのシュートが要所で決まった。「ウチは誰が出ても戦力が変わらないのが武器」と中村誠監督が鍛え上げた選手は、相手の体力が消耗する試合終盤に一気に畳み掛ける監督のプランを遂行した。藤蔭の粘りは想定外だったようだが、「延長戦までもつれるとは思わなかった」(中村監督)と最後まで続いたシーソーデームを制し、4年ぶりの栄冠に輝いた。

 

チームの精神的支柱でもあった藤田恵吾(柳ケ浦3年)

 

盤石の中津北が2連覇

藤蔭が古豪復活の狼煙上げる

 

 女子は第1シードの中津北が前評判通りの実力を見せた。準決勝で同じディフェンス力を持ち味とする大分豊府相手に第1ピリオドは5点リードに留まった。しかし、畑中みつみが強気のリードで試合をつくり、エースの東真菜が得点を重ねた。周りの選手もふたりに導かれるように激しく力強い守備から速攻を決め、点差を広げた。終わってみれば78-61の快勝だった。

 決勝の藤蔭戦は立ち上がりから攻守で力勝ち。準決勝の反省を生かした。「選手が考え、選手が実行した」と大津留礎監督。リバウンド、ルーズボールなど球際で集中力を発揮し、ほとんどの場面で競り勝った。もともと実力のあるチームが勝利への執念を見せれば隙はなくなる。77-55で圧勝し、2年連続の優勝を決めた。

 

勝負どころでエースの責任を果たした東真菜(中津北3年)

 

 決勝で力尽きた藤蔭だが、準決勝では宿敵・大分商業と熱戦を繰り広げ、競り勝った。今大会を通じて成長した2年生エース西田恵菜に勝負強さが備わり、ワンランク上のチームへ昇華した感はある。

 一方の大分商業は県内随一の戦力を誇るが、勝負に徹することができずにいる。選手個々の心意気はあるが、集団となると甘さが出る。3年生の流した涙は下級生へのメッセージだ。この大会は控えだった1、2年生には長身が多く、大型チームとなりそうな新チームには厳しさが求められる。

 

藤蔭躍進の原動力となった西田恵菜(2年) 

 

 男女共に“藤蔭旋風”が巻き起こった今大会。実績のある新監督を県外から招聘(しょうへい)し、選手の強化策が実を結び、今回の躍進につながった。男子は極端なほど攻撃に重きを置いたスタイルを磨き、女子は選手個々の能力を生かした集団に仕立て、勝ち進んだ。今後、男子は新興勢力として、女子は古豪復活として大分の高校バスケットボールを盛り上げる存在となるはずだ。

 

(柚野真也)

大会結果

2023年度