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大分トリニータ 下田北斗 目覚めた自我、トップギアで突っ走る

大分トリニータ 下田北斗 目覚めた自我、トップギアで突っ走る

 日向灘を震源とした地震により延期となっていた鹿児島キャンプが今日から始まる。出鼻をくじかれた大分トリニータだが、下平隆宏監督にも選手たちにも焦りの色はなく、開幕に向けて着々と準備は進んでいるようだ。今季もチームの核として活躍が期待される下田北斗は「J2優勝で必ずJ1に戻る」と静かに闘志を燃やす。

 

 昨年のJ2降格が決まった36節・鹿島戦後に、人目をはばからず悔し涙を流した。天皇杯全日本選手権大会決勝では、タイトルを逃して誰よりも悔しがった。短いオフに心身ともにクールダウンした下田は、新シーズンを待ちわびていた。「(天皇杯決勝に残ったことで)他のチームより長くサッカーをしたので、体を休め、リフレッシュすることを優先したが、(プレーの)感覚が残っているのはプラス。新しい監督の下で得るものはあるし、成長できる」

 

 移籍1年目の昨季とは出足の鋭さが違う。本来の躍動感を取り戻した今季、「トップギアのままシーズンを突っ走る」という下田にはプランがあった。下平監督とは面識はないが、シーズンオフの間に指揮官の目指すスタイルを想像し、自分に求められるプレーをピックアップし、そのために必要なことを分析していた。「攻撃で主導権を握りたい。そのためには個人の強度を上げ、一人でボールを奪い、ミドルシュートで点を決めたい」とバージョンアップを掲げる。

 

精力的に動き、追い込む下田北斗

 昨季までの下田はバランスを第一に考え、周りとうまく連係しながら、自分だけでなく味方の良さを引き出す選手だった。守備では、味方にボールを奪わせようと相手を追い込み、奪った後に素早く攻撃を展開するために、自分がパスを引き出すポジションに動いた。チーム全体を見渡す司令塔として、左右にパスを散らし、ワンタッチでのバックパスでリズムを作った。

 

 しかし、今季は定位置たる中盤の底から、より前線に近いポジションへ主戦場を移しそうだ。「攻撃的な特徴を生かすために、なんでも自分でできる選手になりたい。得点、アシストにこだわりたい」。思い描くのは昨年の天皇杯準決勝、決勝のイメージだ。「降格させた責任はあるが、いい形で終われた」。ゴールに近いポジションで、得点に直結するプレーができた手応えがある。DFを凍りつかせるスルーパスにとどまらず、ドリブルでボールを運び、ゴールが見えればシュートを狙う。より攻撃的なスタイルに変貌しようとしている。今季は新しい下田北斗が見られそうだ。

 

「得点、アシストで結果を残す」と語った

 

 

(柚野真也)