OITA SPORTS

6/30 MON 2025

supported by

大分県宅地建物取引業協会

陸上競技 陸上競技

ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 駅伝女子 孤高のキャプテンは悔しさをバネに成長を遂げる

ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 駅伝女子 孤高のキャプテンは悔しさをバネに成長を遂げる

 全国高校駅伝の舞台となる「都大路」を3度走った竹原さくら(3年)。1年次からメンバーに入り、昨年からはエースとして、そして異例の2年生キャプテンとして2年間、精神的支柱としてチームを引っ張った。最後のレースでは、「最高の走りをして、最高に目立つ」と、お気に入りのピンクのヘアゴムで髪を結い、気合を入れた。「出走できなかった3年生のために。下級生に勇気を与える走りをしたい」との思いがあったのは言うまでもない。

 

 2年連続でエース級がそろう1区を担い、スタートを切った。気負ったわけではないが、思うような走りができなかった。この3年間のチーム成績は17位、22位、17位、「目標の入賞は届かなかった。今年はラストイヤーだったので結果を残したかった。自分の走りも納得できるものではなかった」と悔しさを隠さなかった。

 

 都大路に憧れ、大分東明に入学した。慣れない寮生活や男子と同じメニューをこなしているのに結果が出ないことに悩んだ時期もあった。それでも弱音を吐かず、黙々と練習する姿を後輩は見ていた。「さくらさんは、いつもチームのことを考えて、行動していた」と多田妃奈(2年)は話す。

 

2年連続1区を走った竹原さくら

 

 口下手で声も小さく、背中で引っ張るタイプの竹原だったが、2度目の都大路を走った後から変化を見せた。夕食後のミーティングでその日の練習で感じたことや自分の思いを話すようになった。横瀬彩也香コーチは竹原の成長をこう話す。「話すことで考えがまとまり、練習から走りがよくなった。さくらが話すことでミーティングの質が上がり、チームにまとまりができた」

 

 竹原の最後の都大路に懸ける思いを知り、下級生は「さくらさんのために」と竹原がつないだタスキをゴールまで届けた。決して満足のできる結果は出なかったが、「昨年より強くなった。成長できた」は全員の思いだ。竹原は「やり切ったとは言えない。だからこそ後輩は次につなげてほしいし、自分ももっと成長できるように練習をするだけ」と、釘を刺すことを忘れなかった。気持ちはピンクのヘアゴムで結った髪のように乱れることはなかったが、3年生へ向けて「みんなでキツい練習を乗り越えた。3年間ありがとうと言いたい」と思いを語った時、目が少しだけ潤んだ。

 

笑顔で終えた3年生

 

 

(柚野真也)

大会結果