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ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 バレーボール女子 エースの涙が止まらなかった理由 嵯峨暖菜(大分商業3年)

ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 バレーボール女子 エースの涙が止まらなかった理由 嵯峨暖菜(大分商業3年)

第74回全日本バレーボール高校選手権大会県代表決定戦

11月7日 昭和電工武道スポーツセンター

女子 決勝

大分商業0-3東九州龍谷

(18-25、23-25、24-26)

  

 大分商業のエースの誇りと県内ナンバーワン選手として全国舞台に立つために、東九州龍谷(東龍)に勝つことが全てだった。全国への扉を開く最後の大会となった全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)県予選決勝、大分商業の嵯峨暖菜は、強い思いを胸に試合に挑み、最後まで攻め続ける姿勢を崩さなかった。少しばかり体勢が崩れようが、嵯峨はトスが上がれば積極的にスパイクを打ち込んだ。「みんながつないでくれたボール。どんなボールでも私に上がれば得点する。それがエースの仕事」と迷いはなかった。

 

 中学で県選抜のエースとして活躍した嵯峨は、高校入学とともに先発の座を射止めた。2年生の頃にはエースとしてコートに立ち、3年生になってからはキャプテンとなりチームの精神的支柱として存在感は増した。「チームを勝利に導くのがエース」との思いは高まり、今大会は高校3年間の集大成であったからこそ得点にこだわった。決勝で嵯峨が放ったスパイクはチームのスパイク数の半分以上を占めた。当然、相手はブロックの枚数を増やしてくるが、エースは硬軟自在のスパイクで得点を重ねる。優れた跳躍力と柔軟性を兼ね備え、後衛に回れば今大会のために秘技としてきたバックアタックで相手守備を惑わせた。

 

体勢が崩れてもスパイクを打ち込む嵯峨暖菜

 

 「最初から調子は良かった。全部のセットでフェイントが効果的に決まった」とこれまでにない手応えを感じていた。僅差で2セットを失ったが、「勝てると信じていたし、自信はあった。相手のペースに飲まれることもなかった」と嵯峨。後がない第3セットになっても仲間を鼓舞し、「困った時は私に上げてほしい」と言い切った。このセット24点のうち12点をマークするなど、その威力は衰えなかった。それでも、最後まで東龍を捉えることはできなかった。

 

 敗北が決まった瞬間、嵯峨の目から大粒の涙がこぼれた。「悔しい、次がないと思うと悔しい。監督、保護者に支えられ、たくさんのサポートをしてもらった。だからこそ勝って恩返しをしたかった」。負けた試合は取り戻せないと思うと、悔しく、涙があふれる。「チームを勝利に導けなかった」とエースの涙は止まらなかった。

 

 

悔しさが込み上げ、涙は止まらなかった

 

 

(柚野真也)