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大分トリニータ クラブ初の4強入り 残留に向けて士気高まる

大分トリニータ クラブ初の4強入り 残留に向けて士気高まる

 リーグ戦では残留争いの渦中にいる大分トリニータだが、負ければ終わりのトーナメント「第101回天皇杯全日本選手権」で意地を見せ、クラブ初の4強入りをした。準々決勝でJ2のジュビロ磐田に2−0で勝利、片野坂知宏監督は「クラブの新しい歴史をつくれた。勝った勢いをリーグ戦につなげたい」と振り返った。

 

 互いに慎重な立ち上がりだった。自陣から丁寧にパスをつなぎ様子を見ながらの展開。片野坂監督が「(同じ陣形を敷くため)ミラーゲームで“にらみ合い”が続き、停滞する時間があった」と言ったように、距離を保ち、けん制する時間が続く。ボールは動くが両者ともに決定打がないまま前半を終えたことは、大分にとっては幸運だった。この日、最終ラインの真ん中にペレイラを先発起用し、通常と異なる並びで臨んだ。試運転が必要な時間帯で相手のギアが入らなかったことで、落ち着いてプレーができ、大きなミスやほころびもなく前半を終えて不安が解消された。

 

守備で奮闘したペレイラ

 守備が安定すれば、攻撃のスイッチを入れやすい。ハーフタイムに「後半は、(攻守の切り替えが速い)トランジションが重要になる」と選手に伝えた片野坂監督は、ドリブルを得意とする藤本一輝をピッチに送り、攻撃のギアを上げた。ワクワク感に乏しい前半から一転、後半は数々の決定機をつくって見せた。その裏にはテンポの上がらない相手を尻目に、速攻と遅攻を織り交ぜた大分の攻撃のバリエーションの多さがあった。

 

 今季から特に相手チームの分析に時間を割いてつくり上げたセットプレーが先制点を生んだ。「狙い通りだった」と、得点した長沢駿。香川勇気が動いて空けたスペースを狙い、野村直輝のC Kに頭で合わせた。1点リードしてからは相手が前掛かりになると、有意な状況を確実に生かし、カウンターから追加点を奪って勝負を決めた。

 

 狙いとする戦い方で確実に勝利、チームの雰囲気が高まったのは言うまでもない。今年1年取り組んできた成果が形となっている。リーグ戦残り5試合で残留を決め、天皇杯で集大成を見せたいところだ。

 

守備で奮闘したペレイラ

 

写真は全て大分フットボールクラブの提供

 

 

(柚野真也)