大分上野丘高校ラグビー部 佐藤武信(3年) file.827
ラグビー
花園県予選特集 ラグビー(1) 大分舞鶴 復活ののろしを上げる
この季節がやってきた―。高校ラグビーの聖地・花園を目指す「第101回全国高校ラグビーフットボール大会」の県予選が17日から始まる。3連覇を狙う大分東明、復権を目指す大分舞鶴との2強と、高校3年間の総決算となる注目の3年生を紹介する。第1回目は、華麗なる王者復活劇をもくろむ大分舞鶴だ。
2大会連続で敗れ、花園を逃した強豪校の落胆は大きかった。全国でも名の知れ渡る強豪校が味わったこの2年間の転落劇は想像を絶するものだった。「舞鶴の時代は終わった」「ラグビースタイルが古い」、そんな言葉が監督や選手の耳に入ってきたのは一度や二度ではない。昨年4月に赴任した杉本圭監督は、「強豪校だからこそ周囲の雑音は大きかったと思うが、僕は全く気にしなかった。花園を経験したことのないメンバーと、いい意味で危機感を持って練習に取り組めた」と話す。
1年目は前監督のカラーを踏襲し、選手とコミュニケーションを図りながら練習の質を高めることに焦点を当てた。練習時間は短くなったが、ラグビーに必要な常に動き続けることを課し、練習メニューの合間も止まることはなかった。戦い方も、混乱しないようにフォワードを軸に前進するスタイルを継続し、ボールを奪い返すリスク管理を図りながら、効率的に自分たちに有利なスペースを確保することを徹底した。浸透するまで時間を要したが2年目の今年は、2月の県高校新人大会で大分東明に1点差で敗れたものの、6月の県高校総体でリベンジを果たし、久しぶりに王者に返り咲いた。
短時間に集中した練習で強化してきた
完全復活を目指してきたが、今夏コロナ禍で思うような強化計画が進まず暗雲が立ち込めた。「Bチームを底上げしてからAチームを分散して混ぜた。両チームの良いところと悪いところを洗い出すと、アタックやディフェンスで幅が広がり、選択肢が増えた」と杉本監督。9月半ばからは実戦練習を増やし、大会までの数週間で仕上げに入る。キャプテンの川上隆輔(3年)は「県総体で優勝したことで迷いがなくなった。これまでやってきたことが正しかったと証明したい」と話し、もう一人のキャプテン島正輝(同)は「僕たちは花園を知らない世代。落ちるところまで落ちたので上がるだけ。プレッシャーはない」と気負いはない。
目標は全国ベスト8。その前に県予選で宿敵相手を圧倒することを掲げる。杉本監督は「花園に行くことが目的ではない。全国で勝つことが重要。県予選は通過点だが、通過しないことには次はない」と釘を刺すことも忘れなかったが、先の言葉は掛け値なしの本音だろう。王者復活劇の序章が始まる。
復権を目指す大分舞鶴
(柚野真也)