県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 18球で終わりを告げた最後の夏 林田夢大(津久見3年)
第103回全国高校野球選手権大分大会
7月18日 別大興産スタジアム
3回戦
津久見 001 000 000|1
高田 001 001 00×|2
今大会、注目右腕の夏は18球で終わった。第1シード津久見のエース林田夢大(3年)。初戦となった由布戦の登板を回避し、3回戦でも先発オーダーに名前はなかった。「状態が悪く、次の試合まで安静にしたかった」と藤丸崇監督。大会1カ月前の練習試合で腰を痛め、投げ込みもできず、痛み止めを服用しながらの調整で満身創痍(そうい)だった。
昨夏の県独自大会で優勝。先発、抑えとフル稼働し勝利の原動力となり、古豪復活への期待を一身に背負った。33年ぶりの夏の甲子園出場に向けて、新チームになって最初の公式戦で優勝し、春の九州大会にも出場。絶対的エースとして君臨したが、最後のマウンドは本調子とはほど遠かった。
試合は序盤から1点を争う接戦となり、1点を追う八回に「流れを変えたい」と志願しマウンドに上がった。初球は幼い頃から「ずっとこだわっているストレート」と決めていた。球速は138㌔とまずまずだったが、「球が走らず、キレもなかった」と思い描く球筋ではなかった。珍しくフォームを崩してよろける姿やコントロールが定まらなかったのは、腰の痛みで軸がブレていたからだ。それでも「ユウト、気持ちを出せ」との仲間の声に後押しされ、1回を無失点に抑え、逆転に望みをつなげた。
痛みをこらえマウンドに立った林田夢大
九回には二死走者なしの場面で打席が回る。「打席に立たせてくれた仲間のために」と振った打球は遊ゴロ。一塁に滑り込んだが、最後の打者となって高校野球の幕を閉じた。試合後は気丈に振る舞い、「下を向くな。胸を張ろう」と呼び掛けた。「優勝できずに悔しい。まだまだ未熟だったということ」と負けを認め、3年間一緒に汗を流し、苦楽をともにした仲間に「一生忘れない」と話したときには、抑えていた感情がせきを切ってあふれ、涙が流れた。
野球の町・津久見での3年間を「僕の野球観がガラリと変わった」と振り返り、「感謝の気持ちしかない」と支えてくれた人たちに感謝の言葉を述べた。今後については「この夏で結果を残せなかったので、(次のステージに向けて)明日から練習に励む」とだけ語った。
最後の打者となり夏が終わった
(柚野真也)