
大分トリニータ シーズン総括 戦い方を徹底できず低迷、降格危機で現実路線へ 【大分県】
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身一つで戦う格闘技の面白さにのめり込み、地元である千葉県から日本文理大附属高校レスリング部の門を叩いた武藤翔吾(3年)。高校生活をスタートさせるまで佐伯の地を訪れたことはなく、もちろん親元を離れて送る寮生活も初めての経験だった。慣れない環境に戸惑い、けれど一心に競技に向き合いながら過ごす日々は目まぐるしく過ぎ、いつの間にか高校生活も残りわずか。現在は3年間の集大成となる国体へ向け、校内の道場で汗を流す日々が続いている。目指すは優勝の2文字のみ。武藤にとってこの勝負に負けることは許されない。
全国制覇を目標に掲げた全国高校総体(南東北インターハイ)では、春の全国高校選抜大会で苦杯をなめさせられた因縁の相手・仲里優力(沖縄・北部農林高)と対決。再び王者の座を競い合うも、結果は1-3の判定負け。手の内を知り尽くした2人が大技を掛け合う息の詰まる場面の連続。しかし、ライバル同士の戦いは、試合序盤に場外への押し出しで得点した仲里に軍配が上がる。
175㎝、120㎏。父親の勧めでレスリングの道を歩み始めた
得意とするタックルの精度向上も勝利の鍵
不完全燃焼の幕切れに武藤は唇を噛み、「自分のレスリングができず悔しい」と無念の表情を浮かべた。気持ちを新たにリベンジを誓ったが国体の舞台で宿敵との対戦はかなわない。少年男子フリー120㎏級に出場する武藤に対し、仲里が出場する種目は少年男子グレコ120㎏級。「絶対に勝たないと」。短い言葉に、武藤の決意が光る。
インターハイで浮き彫りになった課題は精神面の弱さ。「レスリングは選手の人間性を浮き彫りにする」と勝龍三郎監督が語るほど、この競技とメンタルのつながりは深い。弱気にならない、消極的にならない、最後まで諦めない。勝利への執着と競技への貪欲な姿勢は、武藤にとって常に向き合うべき課題であった。自己能力を最大限に開花させるためには、心が技術に追いつかなければならない。勝負の世界では最後まで何が起こるか分からない。しかし、舞台に立つその日まで備え、己の能力を高めることはできる。誰にだって時間は平等なのだから。自分の殻を打ち破り、さらなるステージアップを誓う武藤の戦いがもうすぐ幕を開ける。
選手主体という活動方針の下、この1年間は上級生としても部を支えてきた
(塩月菜央)
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